ボストンのギャラリーから電話があった。
ちょうどお風呂に入っているときで娘が「きたきた!電話電話」と携帯を手に走ってきた。「あっ、きれた」数コールで切れてしまったようだ。
慌てて風呂から上がり、固唾をのむように電話を待った。そこに鳴り響くコール音。
「ワタナベサンデスカア。マーサデェス。ワッカリマスカア」日本語しゃべってる。日本語でいいのか?
しかし次からはやっぱり英語。ゆっくりと区切って発音してくれているのは分かる。が、話が込み入ってくると質問なのか同意を求めているのか単なる説明なのか判然としなくなってきた。
内容は先日送った「旅するカメラ3」に収録している「雪の日」と「山の向こう側」の話。米沢に関するふたつのショートストーリーを「da.gasita」のステートメントの代わりになればと思い、日本で翻訳してもらって彼女に送っていたのだ。
それに対し彼女はとても好意的に受け止めてくれたようだ。文豪まで引き合いに出して、いかに良かったかを伝えてくれた。
僕は文章と写真を組み合わせた本を3冊出している、と話したら「是非それを読みたい。送ってくれないか。夫が日本語が分かるから日本語でも大丈夫だ」
話は大きくなり海外で出版するのはどう?ああして、こうしてと話は続く。
マサチューセッツ写真美術館webサイトでの展示が決まりスケジュールが出た、3月に正式に決まったと教えてくれた。
気がつくと30分はたっていた。メールで済むところをわざわざ電話をしてくれた彼女の行為がとても嬉しかった。でも疲れたあ。
「Did you anderstand?」と聞かれて「allmost(ほとんど)」と答えたものの実際は半分くらいしか分かってない。
娘と妻が横で笑っている「お父さんヤ、ヤ、ヤ、ニャア?」って言ってたよ」
多分ニャア?は肯定文のヤに疑問形のエッがくっついたんだろうな。
Nya?