この夏結婚するふたりのために記念写真を撮影した。
「ローライとハッセルどっちで撮って欲しい?」と聞いたら彼女は「こっちがいい」とハッセルを指差した。ローライは彼が持っているからという理由らしい。
ハッセルに標準の80ミリをつけてマガジンを2つ用意する。しばらく使っていなかったから動作確認のためのポラパックも。
アングルファインダーに変え、蛇腹のレンズフードを取り付けると合体ロボのようになる。
いつもワークショップで光の説明をしている元銭湯の駐車場で撮影することにした。
はたから見たらなぜこんな場所で写真を撮っているのか不思議だろうが、ここには実にポートレートに向いた光が差し込んでくる。
カラーネガとモノクロフィルムを詰めたハッセルで2パターン撮影する。ハッセルで撮ると、デジタルでは味わえない撮影の間合いが存在するような気がする。
シャッターを切るたび「ボシュッ」と気持ちのいい音をたてる。写っている手ごたえが指先に伝わってくる。
ポートレートは面白いと久々に感じてしまった。
昨年アルルフォトフェスティバルに行った顛末をデジカメウォッチのサイトに載せたため「自分もアルルに行ってみたいのだが」と相談をうけることが多くなった。
雑誌ではなくWEB上にログとして残ることで資料性が出てきたあかしだ。それを望んでいたのでとても嬉しい。
日本からは分かっているだけで10人がポートフォリオレビューに参加する。1昨年はひとり、昨年は3人、今年は10人と徐々に増えている。
彼らがまたアルルの情報をWEB上に残していけばどんどん情報の密度が濃くなりまたアルルに参加するひとも増えていくだろう。
50万円のお金をかけてわざわざ写真を見てもらいにいくなんて普通なら考えられない行為だが、行こうとする人はその分だけ真剣だ。
外に出たら東京はきれいな夕焼けだった。