花曇の日曜日

井本礼子写真展「記憶の琴線 〜 想起する幻の光 〜」がギャラリー冬青で始まった。
http://www.tosei-sha.jp/index_j.html

一昨年前の作品と同じ手法のものだが今回のプリントのほうが断然好み。聞いたらADOXのペーパーを使い、後処理でセレニウムトーニングを施しているそうだ。とてもいい黒が出ている。

たしかセレニウムは日本で入手できなくなっているはず。井本さんにどうやって手に入れたかを聞いたら「ベルギーでは普通の町の写真屋さんに売ってます」という。

ヨーロッパにはヨドバシカメラのような写真専門の大型店舗はないが、小さなお店に「誰が買うんだ?」と思うようなびっくりするようなものが普通に置いてあったりする。

井本×城林のトークショーは、冬青では珍しく女性の観客が多かった。トークショーが終わってからビールを飲みながら雑談していると(冬青のトークショーでは毎回ビアパーティがもうけられていて、これが作家と観客の距離が近くなってすごくいい)、「ロンドンにいました」「オスロで勉強してました」「香港に来月から住みます」「ニューヨークで写真やっています」「スペインから来ました」と周りにいた女性のほとんどが海外在住者だった。

井本さん、城林さんがベルギーとニューヨークに住んでいるから自然と集まるのだろうがそれにしても驚いた。

トークショーは海外でアーティストとして活動するにはということを中心に行われた。二人ともビデオ作品やインスタレーション、ドローイングといった写真だけにとどまらない活動をしている。写真家というよりアーティストの感覚かもしれない。

井本さんは35ミリモノクロ、城林さんは6×6のカラー、手法やアプローチはまったく対照的に見えるふたりだが、ステートメントに書いてある内容にまったく同じ記述があるという。ふたりがpリフォトの会場で意気投合したのは世界観が似通っていたからなのだろう。

井本さんは会期中写真家のためのレビューを行う予定になっている。1回50分ものレビューなんて聞いたことがない。海外での作品発表をを視野にいれている人は、その筋道が分かるとてもいいチャンスだと思う。

http://www.tosei-sha.jp/imoto_portfolio_review.htm