ふたつの写真展

以前東南アジアによく行っていたときに、地図を見ると沖縄から台湾、フィリピン、インドネシアと島伝いに船で行けそうな気がしていた。

映画では深作欣二監督「海燕ジョーの奇跡」で焼玉エンジンの小船でフィリピンへ逃げるエピソードがあった。

調べてみるとそれはベトナムから文化が伝播する道筋でもあり、海洋アジアとも呼ばれていた。それらはどこか文化風習が似通っているところがあり、国が違えど同じにおいがする。いつかぐるりと地図で見たように回ってみたいとずっと思っていた。

やっぱり同じことを考える写真家はいるものだ。16日まで銀座ニコンサロンでやっている写真展「ニライ」で染谷学さんは同じことを思っていたようだ。http://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/20100226_351491.html

染谷さんのカラーを初めて見た。褪せたような色合いがどこかで見た記憶がある。思いあったのはインドネシアで焼いたサービスサイズのプリントの色。

思わせぶりでも恣意的でもなくアジアを見ている。被写体との対話とかコミュニケーションとか感じさせない。入り込んだ目線と言うより擦れる感じだ。

写真集も出ている。意外だったのはこれがこれが染谷さんの初めての写真集だ。今アジアを思いながら写真集を見ている。

ニューヨーク在住の写真家城林希里香の写真展「Lines, Beyond」をギャラリー冬青でやっている。http://www.tosei-sha.jp/index_j.html

前回のLinesにBeyondが加わった構成で、アメリカの出版社と冬青の共同出版の写真集がベースになっている。大判の写真集で表紙にはタイトルが入っていないデザインだ。壁に立てかけておくと、ひとつの作品になる。

来月には井本礼子写真展「記憶の琴線 〜 想起する幻の光」が予定されていて、4月2日には両人ののトークショーが用意されている。

おふたりとも国際的な経歴の持ち主でプロフィールを見ていると目まいがする。しかしそのふたりがパリフォトで会って関西弁バリバリで話している姿は、紛れもなく「大阪のおばちゃん」であった。

トークショー期待してもいいと思う。