鰻のひつまぶし。

久しぶりに表紙の撮影。これまた久しぶりにストロボを使う。

銀座での撮影だったので帰りがけに京橋のツァイトフォトサロン大井成義作品展「Dark Lake」を見に行く。1メートルを超すプリントだが、大型カメラによる撮影の精細なイメージがまったく損なわれていない。

アナログな引き伸ばしではなく印画紙にレーザーでデータを書き込んだラムダプリントのようだ。近頃の展示の傾向として大型化が目立つ。販売価格は10万円から。大きく開放的な家に飾ったら似合いそうな写真だった。

夜はモノクロワークショップの日。ディズフォトギャラリーが閉廊のため朝日新聞社の会議室で行われた。講師は白岡順。

白岡氏の名前が講師陣にあったから、このワークショップに参加したようなものだ。彼は20年以上パリに暮らし、独特の黒めに焼かれたトーンの写真でヨーロッパで大きな評価を得る。若手の写真家がこぞって白岡トーンを真似したと言われている。「パリの写真を黒くした男」という伝説が残る。

始めて見る本人はサンタクロースのような風貌だった。写真のイメージとはまったく違う。今回は写真のプレゼンテーションの話。ニューヨークやパリでの体験が中心だった。

白岡氏のオリジナルプリントを解説付きで見る。何が驚いたかって、「焼きこみや覆い焼きはまったくしない。僕のプリントはすべてストレート焼きだ」と言っていたことだ。

長年「ストレート焼きで成立するプリントはありえない」と思っていただけに、その言葉は衝撃だった。目の前のプリントは見事に成立しているではないか。毎回ワークショップに参加するたびに新しいスタンダードを突きつけられる思いだ。頭がクラクラする。

白岡順のプリントは1枚13万円。彼のニューヨークの写真が欲しい。