春キャベツと鶏のささ身のパスタ。

ワークショップ内で恒例となっているのが写真家を招いての「ビューイング」。

ここでいうビューイングとは作家に来てもらいオリジナルプリントを初期のものから現在のものまで見せてもらい、その場で作品の背景説明をしてもらうというイベントだ。

今回は白岡順さんにお願いすることができた。白岡さんはニューヨーク、パリに30年近く住み、国際的な作家のひとりである。2000年に帰国後東京造形大学の教授をつとめ、現在は市谷で貸し暗室とワークショップの「カロタイプ」を開いている。http://www.calotype.jp/

白岡さんがパリにいた時代はまだネットがない時代で、日本ではどうもパリに白岡順という作家がいるらしい、という話は聞くのだけどが作品がどういったものかは分からなかった。

当時「デジャブ」という写真雑誌があり、その特集で初めて白岡さんの作品を見た。濃いモノクロームのトーンで闇が光を侵食するような印象だった。

その後横浜のギャラリーパストレイズに写真展を見に行った。小四つ切に焼かれた小さなプリントは、写っているものの意味を嘲うかのような深いトーンだった。

2004年、アサヒカメラ主催のワークショップがあり、講師のひとりに白岡さんの名前があがっていたので即参加を決めた。

1年間12人の写真家が交代で講師を勤めるスタイルで、これは毎月毎月とても楽しみだった。

12人がそれぞれてんでバラバラなことを言って帰る。写真の見方もアプローチも12人いれば12通りあることが分かった。

白岡さんの顔は知らなかった。プロフィール写真は目が釣り上がった厳しいものだから勝手に線の細い人を想像していた。

果たして、初めて見る生白岡順はサンタクロースのような風貌と体躯だった。そう見えたのは時期が12月の末だったからかもしれないが(笑)

そのとき白岡さんは初期のものから現在のものまで作品を並べて見せてくれた。そのときの衝撃はかなりのもので、その後の僕のプリントの考え方に相当の影響を及ぼした。

白岡さんがパリにいた頃、そのプリントの影響力で「白岡がパリの写真を黒くした」と言われていたというがよく分かる。

この写真家の作品を時系列で見ていく体験を通して、作家がどう変化していき、どう変わらないかを見ることができた。

これがビューイングを始めるきっかけになった。

今回再度見ることで前回と違った印象が生まれたら面白い