マイク沼、再び

朝 大豆シリアルヨーグルト

昼 バターナッツカボチャとアスパラのスパイス焼き、タコとトマトのサラダ、生ハムと柿のサラダ、チキンカレー

夜 無限卵、ササミと野菜の玄米パスタ

 

2BChamnelにも出てもらったビデオグラファーの鈴木佑介さんが「渡部さんの声質からすると、今使っているダイナミックマイクよりコンデンサーマイクの方が合うと思う」とわざわざパートナーの鈴木麻弓さんと一緒に事務所まで来てくれた。なので昼ごはんにとっておきのシャンパン「ヴーヴクリコ」を開ける。

食事後、配信スタジオで2種類のRORD(ロード)のガンマイクを試す。「NTG5」と「NTG3B」。3Bの方がお高い。8万円くらいする。

マイクセッティングの基礎を教えてもらって、いろいろな角度から試してみる。ゲイン調整しながらノイズをチェックしていったのだが、まずパソコンのファンの音がどうしようもない。感度のいい高級マイクはファンの音を忠実に拾ってしまう。

PCは、美術史講座や2Bchannelライブでの時に、僕にはどうしても必要。だから指向性が極端に狭い「SURE」のダイナミックマイク「SM7B」を選んだのだが、声質には合わない。僕の抜けの悪い声質だとくぐもって聞こえてしまう。マイク乗りの悪い声なのだ。

解決策として、まずパソコンをM1Macにする。そうするとファン問題解決。しかるのちにNTG3Bを導入。

そして極め付けなのが、佑介から「カメラ内蔵のマイクアンプが現在使っているシグマfpとパナソニックS5よりもソニーがいいからシステム入れ替えしましょう」とにこやかに言われた。彼の言う通りにすれば、諸々の問題は全て解消。聞いてるうちにその気になってきた。

彼はビデオグラファーじゃなくとも、超一流のセールスマンになれたことだろ。

 

<2017年9月25日の日記から>

浅草寺に40年間通っているという男

 

2Bでは撮影実習として浅草寺に行く。目的は露出のおさらいなのだが、もうひとつ「鬼海さんの壁」詣でをかねている。

鬼海壁とは、写真家の鬼海弘雄さんが40年間ポートレートを撮り続けている浅草寺の社務所の壁のことだ。モノクロポートレートを撮るのに完璧な条件が揃っている。

2B講座の初回には必ず鬼海弘雄写真集「PERSONA」を見せる。初めて鬼海さんの写真に接する人でも、何か特別なものだという印象は残る。それがどうやって撮られているかというのを実習を通して理解していくのだ。だから浅草寺実習は総仕上げの意味合いもある。

浅草寺に行くたびに鬼海さんいないかなと思うのだが中々会えない。数年前に「渡部さとるさんではないですか」とちょっと東北訛りのアクセントで話しかけてくる人がいて、顔を向けると鬼海さんがいて驚いた。

鬼海さんは写真はもとより人間的に大好きな人だ。なんだろう、話していると気持ちがよくなるというか、同じ山形の出のせいか親戚のおじさんのように思えてしまう。

昨日も浅草寺実習で境内を歩いているとまたしても「渡部さとるさんではないですか」と声をかけられた。鬼海さんだ。

近頃体調が思わしくないのではという噂を聞いて心配していたのだが、とても元気そうだった。

もう嬉しくて嬉しくて。人にあってこんなに嬉しくなったのは久しぶりだ。鬼海さんは「山形帰ってるか? 帰ってないなら決着をつける意味でもまた雪の写真撮りに行けばいいんじゃないか」と言ってくれた。その表情は米沢から離れている僕を優しく諭す親戚のおじさんそのものだ。

鬼海さんの持っていたハッセルを見せてもらった。40年間使い込まれているだけにあちこちメッキが剥げ落ち、風格すらある。

「鬼海さんお願い、写真撮らせて」と例の鬼海壁の前に立ってもらった。僕のローライフレックスで4枚だけ撮った。それで十分だ。

とてもいい日になった。存在するだけで人を幸せにするなんて。大人ってこういう人をいうのだろうなと思ったのだった。