いいワインを飲んだ夜のことは、よく覚えているもんだ。

1990年のシャススプリンと1986年のムートンロートシルトを飲ませてもらった。お祝い事のご相伴にあずかれたのだ。

とてもじゃないが、いやらしくてFacebookには上げられない(笑)1986年は当たり年、しかもムートンだ。こんなことはめったにあるものではない。好きな人がこれを見たら嫉妬されそうだ。

シャススプリングは「悲しい時があったら飲みなさい」というワインだと昨年ボルドーに行ったときに聞いた。飲んだのはとても楽しい夜だったけど。

今回開けたムートンはコルクもしっかりしていて 抜栓するときに崩れることもなく綺麗に抜けた。コルクが長い。長年保存されることを想定しているようだ。心配していた傷みはなかった。30年も経っているのにレンガ色じゃなくて鮮やかさが残っている。

ビールでもウィスキーでも日本酒でも一人で飲む楽しみはいくらでもあるが、ワインそれも年代ものだけは誰かと飲みたくなる。しかも相手は年配のほうがいい。少しづつ味が移り変わるのを一緒に楽しみたい。大勢ではなく、かといってふたりきりじゃなくて、4人くらいがいい。

あれこれ語るべきことはあるのだろうが「おいしいね」で十分だった。

1986年に何をしていたかという話になる。その年僕は新聞社づとめで人生で一番働いていたときだ。社会人3年目、25歳か。

30年もののワインを飲むとそんなことを思い出す。