50年前のワイン

朝 りんご、ラフランス

昼「金婚式」のお祝いでいろいろ

この日記では何度も出てくる江古田の喫茶店「プアハウス」。そのご夫妻が金婚式を迎えたということで家族連れで御自宅にお祝いに伺った。お店が閉まってもう3年、こんな時代なので会うのも1年ぶりだ。何本か白ワインを飲んだあと、メインの1971年の赤を開けた。ふたりが結婚した年と同じ50年もの。慎重に抜いたコルクは湿った革のような匂いがし、まったくへたることなく、フレッシュで驚いた。考えてみれば、フランスの大地から吸い上げられた水で育った葡萄でつくられたワイン。50年前のその水分をいま飲んでいる。そう思うとこのワインが特別な飲み物であることが理解できる気がする。

僕が結婚したのは29歳だから、まだ31年目。「真珠婚」というらしい。金婚式は後19年後。ずいぶん先のような気がするが、逆に今から19年前というと2002年。この日記を始めた年だから、なんだかあっという間の気もするし。とにかく今日も幸せなご飯を食べることができた。明日も美味しいご飯が食べられますように。

<2015年12月1日の日記から>

めずらしく娘と一緒に朝食。歯が痛い娘と喉が痛い僕のせいで味噌おかゆ。

12月に入った途端体調がよろしくない。喉が痛いからちょっと風邪気味か。冬だなあ。喉が痛いだけで「咽頭癌かも」なんて思ってしまう。5年前には体調不良と癌なんて結びつけて考えたこともなかった。これには友人の毛利甚八が先月若くして癌で亡くなったせいもある。漫画家の水木しげるも亡くなってしまって。撮影に伺ったのはもう20年も前か。その時の写真はこちら。
http://www.satorw.com/gport/ga15.html

田中長徳さんが著書「銘機礼賛」の中で、人生の時間を時計になぞらえたくだりがある。20歳が正午であり陽射しがガンガン照りつけ、次第に太陽が傾いていく。当時40歳の長徳さんは「現在の自分の時間はすでに4時をまわり薄暮である」と言っていた。それから考えると54歳の僕の時間はすでに日が沈みきり、とっくに夕食の時間になっている。ただ時間には個人差地域差があるわけだ。夏のヨーロッパなんて10時まで明るいしな。まだまだ宵の口だ。まあとにかく夕方を過ぎたんだから、ちょっとおとなしくすることにしようか。「明日できることは今日やらない」っていう名言があるしな。