「プアハウス」

朝 イワシの玄米パスタ

おやつ ふかし芋

夜 玄米雑穀ご飯のカレー

 

インスタに1本の動画をアップした。2分ちょっとの短いもので、江古田にあった喫茶店「プアハウス」の店内の様子だ。

撮影したのは2018年の9月くらいだったような気がする。

お店がなくなる直前のことで、動画を撮っておこうと携帯で撮った。Youtubeを始める前だったが、ちょっとだけ動画に興味を持って、ジンバルを購入したので実験的に撮影してみた。

それが結果的に最後の映像になってしまった。

 

「プアハウス」という店名の由来がアップダイクの小説『老瘋院の祭り(プアハウスフェア)』から来ていることを最近になって知った。

「プアハウス」のことは、何度も何度もこの日記に登場するが、僕は19歳の時から閉店するまで、40年間も通い続けた。

大事なことは全部ここで教えてもらった。大学卒業後もこのお店に通うために江古田に住み、事務所も江古田に構えた。すべて「プアハウス」ありき。僕が食べることが好きになったのも、ワインを飲むようになったのも、古い家具に囲まれて暮らしているのも、もとをただせば全部ここ。

最初にお店に入った瞬間「懐かしい」と感じた。理屈なしに馴染んだのだ。学生の頃は大学にいる時間より、ずっと長い時間をこのお店で過ごした。11時の開店から閉店までいることも珍しくなかった。そんな人たちがたくさんいて、彼らからいろんなことを教わった。昨年亡くなった水谷充くんもそうだ。

 

カレーを食べてコーヒー飲んで漫画を読むのが、何よりの幸せだった。そして時折顔を上げてカウンター越しになんでもない話をする。

「プアハウス」がなくなってしまったという残念さを思うことはなくて、反芻するようにかつて存在した時間を思う。そのとき、ふわっといい気持ちになれる。