写真集デザイン打ち合わせと、印刷入稿作業。
1時半に冬青に行って高橋社長と、2時からはデザイナーを交えて打ち合わせ開始。初めてのデザイナーの方で、ご挨拶もそこそこにダミーブックを見せてイメージを伝える。
とはいえ、そのままでは商業的に成立することは考えられないので、どうやって現実に落とし込むか話し合うl。冬青の本は全国書店流通が大前提。すると色々な制約が生まれてくる。
基本的に冬青の本はハードカバー。本体をカバーで包む方式だ。これは書店と出版倉庫を何往復もするので、表面が汚れたらカバーだけ付け替えるようにするためだ。
だからクロス装丁のようなデザイン性の高いものはNG。流通時に汚れたり角が折れたら廃棄になってしまうからだ。書店流通には本の裏面にISBNというバーコードも必要で、これもデザイン性を大きく損ねる原因になる。
しかし今回は前作と違って本のデザイン性がとても重要になる。デザインを優先すると流通はできない。手売りになる。流通を取るか、デザインを取るか。
「300部だけ特装版はできないだろうか。300冊なら多少高くても手売りで売れるはず」
高橋社長は渋い顔をしたまま一言「コスト的に無理です」。
もっともな話だ。300冊だけ特装版を作ろうとするとコストは単純に倍になるのだから。
しかしそこで引き下がるわけにもいかない。デザインの必要性、これまでの実績からの販売の見通し、そして最後はプレゼンというより情に訴える。
「いいでしょう、わかりました。特装版の見積もりはとってみます。これで冬青が潰れたら渡部さんのせいですからね」。
思わず最敬礼。
特装版で一番大事なのは表面の材質。クロスや合皮の見本帳からダミーブックのイメージに合うものを探す。しかし中々見つからない。
見本帳を見ているうちに閃いた。そのアイディアを話すと、そこにいた全員が呆れ顔。デザイナーさんは「そんな、、、いいんですか」。印刷所の方々は「できないことはないですが聞いたことがない」。
その後色々アイディアは出たが、結局その方法を試してみることになった。果たしてどうなるのか。
その後印刷入稿のための会議になったのだが、これまた今までとは違う方法を取るため印刷に3日かけることになった。写真の量自体は46枚だから通常より少ないくらいだ。でも印刷所泣かせのことを行う。印刷ディレクターの方は「できるかどうか現場に確認取らないと」と不安顔。
4時間かけて打ち合わせが終了。入稿作業が終わったら一安心と思っていたが、反対に心配ごとが増えた。出来上がりがまったく予想できない。こんなの初めてだ。
うまくいくのかどうか、現時点でさっぱりわからない。イメージは伝えた。後はデザイン、印刷のプロ集団におまかせするしかない。