人前で話す

朝 根菜類とトマトの玄米リゾット

夜 「アヒル」カレー

朝から再び松本の写真集ダミーブック作り。表紙をどのイメージにするかあれこれテスト。フォトショップで簡単にタイトルを文字入れしてみる。デザインソフトで厳密に作る人もいるが、僕のはいつも小学生の図画工作レベル。でも結構伝わるんだよなあ。妻に見せたら「あ、いい」と普段滅多に褒めない彼女が言うからこれは「いいもの」だ(笑)。早速担当者に写真を撮ってイメージを送ったら「うわー、いいですね。手に取りたくなる」と返信があってちょっと鼻が高くなる。

午後から都内で講演会。オンラインではなくて対面でやるのは何ヶ月ぶりだろう。いや何年ぶり?というぐらいかもしれないな。30人以上の人を前に「現代写真の考え方」について話をしてきた。『じゃない写真』を出したことで、こういう依頼が多くなった。出版してすぐにコロナ禍となり、オンラインばかりだったが、ようやく対面でできるようになった。

今回の内容は「問いの立て方」について。表現以外にもいろんなことに応用できるはず。『じゃない写真』が生まれたきっかけも僕自身が海外で「なぜノスタルジーが否定されるのか?」という問いから始まった。今回は写真表現を学んでいる人たち相手だったので話しやすかった。対面だと聞き手が上手だと話す方が乗せられる。いい質問も多くて、2時間があっという間だった。本当はゆっくり雑談したかったのだが、週末の美術史講座の夜からの配信があるので急いで帰った。今回は「思想と哲学」の再配信。ソクラテスからサルトルまで。14日の日曜日は「現代思想」レビィ=ストロース、ソシュール、フーコー、バルトなどが出てくる。

<2014年11月14日の日記から>

豆腐とツミレのお鍋

13日と14日、写真集「prana」の印刷立会いだった。両日とも朝9時から夜8時半まで、印刷所の一室に詰める。1シートづつテスト印刷したものを確認してインク量の修正をかけて再度印刷する。それがOKならサインをして本番刷りになるが、望みのトーンに仕上がっていなければ再々度、再再々度、納得のよくまで続ける。それを88ページ分、プラスカバー。

テスト印刷のシートに、冬青の高橋社長の指示が数字で書き込まれると、次の印刷では劇的と言っていいほど変わってくる。マジックといっていいほどだ。オペレーターの方に、もうちょっと黒くとか、自然な感じで、とかよくありそうな曖昧なことは一切言わない。印刷ディレクターも、こんな丁寧に1枚1枚テストを繰り返すのは冬青の写真集だけですと言っていた。ディレクターと社長の掛け合いは見ていて気持ちがいい。お互いが信頼しあっているのがよく分かる。印刷所の高橋社長は、いつもの社長とちょっと違う。僕はその横で「おお!」とか「いいですねえ」と言っていればいい。主な仕事は最終OKのサインをするだけ。用紙はニューVマット、ダブルトーン、印刷機はドイツ製ハイデルベルグ。よく刷れそうな名前だ。インクは黒が2色、グレーが3色のブレンド。配合は写真集ごとに違っているそうだ。終わったとたんに久々の開放感に浸れた。半年以上出版が決まってから続いたモヤモヤがスーッと消えた。「prana」は「da.gasita」に負けない、それ以上の印刷に仕上がった。