ルデコグループ展も折り返し。昨日は土砂降りだったのにも関わらずたくさんの方で会場は常ににぎやかだった。
ほとんどの出展者にとって展示は始めての体験。自分の写真を見てもらえる喜びとバツの悪さを感じているはず。
よくある質問のひとつに「なぜカラーの写真は白っぽく焼いている人が多いのですか?最近こういうプリントよく見るけど流行なの?」というのがある。
こういった、ちょっと浅めのプリントを見かけるようになったのは1996年以降。これはフジからPROシリーズが、コダックからポートラNC、VCシリーズが出てからだ。
それまでのネガカラーはくすんだ色しか出ず、特に抜けるような青空の表現は無理だった。ネガカラーで作品を作る写真家はかなり限られていた。ところがフジ、コダックとも新しいネガカラーを発売すると色再現性は格段にアップする。
特筆すべき特性としてハイライト部の情報量の豊富さがあげられる。ポジにはないハイライト部の描写は新しい表現としてとても魅力的に見えたものだ。
歴代木村伊兵衛賞を見ていくと分かるのだが、1998年にホンマタカシが受賞する前はカラー作品はポジで撮られていて(畠山直哉は除く)ホンマタカシ以降はほとんどすべてネガカラーで撮られている。
ネガカラーを作品にする作家のほとんどがコダックの印画紙にプリントしている。コダック印画紙の特徴としてハイライト部がシアン(青緑)に転ぶ特性があった。
ハイライト部が得意なネガカラーの特性と、ハイライト部がシアンに転ぶ特性の印画紙の組み合わせが、近頃よく眼にする白っぽくてシアンがかったプリントの理由なのだ。
もちろんそれをコントロールすることもできるのだが、初めてカラープリントするとどうしてもその表現をやってみたくなる。
面白いのはずっとモノクロをやってきたものは、あまりその傾向がでない。見ている場所にハイライトが少ないからだ。
写真表現はかなりの部分を感材が決める。今ならデジタルでの夜景表現が目立つ。これはフィルム時代にはなかった表現だ。手持ちでオーロラを撮れる時代なのだ。