写真展会期も残すところ後3日。
できるだけ会場にいようと思い、午前中に用をすませ2時から会場に通っている。
日本のギャラリーには作者がいることが多いが、海外ではオープニングパーティ以外で作者を会場で捕まえることは難しい。
ニューヨークで個展を開いた写真家荻野 NAO之に聞いたら、ギャラリーとの契約で「一ヶ月の会期中、作家がギャラリーに来ていいのは2日だけ」という条項があったそうだ。
作品はギャラリーの商品だから、作家が会場に来たお客と直接交渉をしないようという配慮だそうだ。
ギャラリーは写真を見せる場所ではなくて売る場所だという認識がある。純粋に写真を見せる日本のスタイルは特異な存在だということが最近理解できた。
欧米では売れる作品しかギャラリーに並ばない。しかし日本は売れる売れないに関わらず作品を展示することは可能だ。
それゆえ甘い作品が多いと、海外からやってきた写真関係者は言うが、なんでも発表する気があれば出せる多様性は案外悪いものではないと思う。
70年代にできた自主ギャラリーも日本独自の写真文化だ。写真メーカーサポートのギャラリーも日本以外ほとんど存在しない。そこからしか生まれなかった作品は多いはずだ。
一方で冬青ギャラリーはギャラリストが作家を選んで展示販売する欧米スタイルだ。展示に関する一切のことはギャラリーが負担し、作品売上を作者と折半する。作者はプリントを納品するだけでいい。もちろん1ヶ月の展示にたいする会場費は発生しない。
つまり純粋に作品が売れることで経営がなりたっていくことになる。作者以上に作品が売れることが直接運営に響いてくるわけだ。
景気が悪いこの時期に作品を買ってくださいとは正直いいづらい。でも写真家にとって定期的に発表する場所がなくなるのは大きな問題だ。
まずはギャラリーに写真を見に来てください。そして「もし買うとしたらどれにしようかな」と目で見てください。そしてノリではんく十分納得できたら1枚買ってみてください。
生活にはなんの利便性を生むものではありません。でも1枚の写真を買うことで変わるものも存在することは確かです。
それは僕が身をもって実感していることです。
納得がいく説明ができるようにギャラリーも僕の写真を理解するように努めているし、それが直接できるよう僕は毎日会場に出向きます。