上海、もうひとつ上からです

床面積560平米、天井の高さ3メートル50、幅10メートルはある写真用スタジオ付き。東京では絶対に実現不可能なスペースだ。来年にはスペースを倍にする予定があるという。僕の事務所がウサギ小屋に思えてしまう。

スタジオにはストロボやスタンドが完備し、いつでも好きなときに使うことができる。レンタルスタジオが少ない上海では貴重な存在だ。

3人の理想は、ここがアーティストにとってのサロンになるkとだという。そんな話をカウンターテーブルで中国茶を飲みながら聞いた。海原さんのお茶を淹れる手つきは馴れたものだ。

彼はカウンターの中でいつもお客さんやスタッフにお茶を入れているという。カウンターを挟んでお茶を飲むことで距離が近づきいい関係ができると言っていた。1時を回るまで話し込んで外に出る。深夜なのにお店が結構開いている。美容室のガラス越しに店員が5人くらいお店の中で寝ているのが見えた。

ホテルは彼の事務所近くのキッチン付きの部屋をとってもらった。シングル7500円で広くて快適。LANケーブルもあり、ネットができる。中国のホテルはのぼLANに対応しているため、今回はノートパソコンを持っていってメールのチェックだけしていた。

翌日は朝8時に起きて、まずは上海美術館へ。「日本撮影家海原修平撮影作品展 城市、社会和人」の大看板が掲げられていた。

上海美術館は、戦前の競馬場クラブハウス跡地を改装して使われている。イギリス様式の建築はシックで、雰囲気最高の美術館だ。展示は6つのブースを使って101枚の写真で構成されていた。1997年に東京のオリンパスギャラリーで写真展を開いた時に見たものが多くあった。

彼の写真の特徴は、町のスナップを24ミリ×58ミリのパノラマカメラを使っていることだ。町を切り取るというより、そっくりそのまま写し取っている。

パノラマの画角のため、右と左では別のドラマが生まれている。トランプ博打をしている人々に迫った写真などは、端の人がまったくカメラを意識していない。まさかこんなにワイドに写るとは思ってもいないのだ。