三ノ宮でサウナ付きカプセルホテル。快適だった。

六甲山国際写真祭を見に神戸に行ってきた。http://rokkophotofestival.com/blog/

六甲山国際写真祭は今年で5回目となる。六甲山の特徴はポートフォリオレビューを山中の宿泊施設で密に行うことだ。

ディレクターの杉山さんが新しいギャラリーを作ったというのも、場所探しをしている僕には興味深々だった。

三ノ宮駅前から10分くらいの好立地に「ミラージュギャラリー」はあった。窓が大きくて気持ちのいい、しかも天井高のある理想的な作りだ。東京でも見たことがない。ブックショップもあるし、ワークショップスペースもある。とても良い空間だ。

ミラージュギャラリーの他にKIITOとCAPで行われているフェスティバルの展示を見に行く。大判のキャンバスにプリントアウトされたイメージが天井から吊るされている。過去には屋外展示もあったそうだ。

一部オリジナルプリント(作家が直接コントロールしたもの)があったが大半は写真の質感ではなく「何を表現するか」ということに重きが置かれている。そうなるとテキストがとても重要な意味を持ってくる。

メインゲストのザルマイはスイスの写真家でアフガニスタンの出身だ。幼い頃スイスに両親と亡命し、現在も移民難民問題をテーマにしている。とても力強い写真だ。宗教画にすら見えてくる。

彼のトークイベントを聞き、メディアのことについて質問してみた。メディアとは器のことで、主に新聞、雑誌、テレビ、インターネットなどを指す。「どのメディアに出すことがもっとも重要だと考えているのか?」

彼は「それはとても重要な問題だ」とし、たくさんの人に触れて考えてもらうことが一番大事であり、インスタグラムというメディアも否定はしないと言っていた。また動画も積極的につかっているという。

その後のパーティでも彼と話すことができた。52歳になる彼は14歳のときにカメラマンになることを決意し、その後専門的な教育を受け、新聞や雑誌などのメディアで仕事をしてきた。僕は56歳だから背景はほぼ同じだ。

戦場の写真にはまったく興味がない、難民だけではなく色々な問題を取り上げるが戦場にいくことはないそうだ。

彼の写真は問題を提起するには完璧なものだが、果たしてこれを既存メディアが大きく取り上げるかというと難しいだろうと思う。かといってインターネットでは一瞬の情報として流されてしまい考えるきっかけとはなりづらいのではないか。

意外と写真フェスティバルのような装置がこのような写真には向いていると思えてくる。ただし深く問題を知ってもらうということには適していても、広くということについては日本の写真フェスティバルは極めて限定的であり、作家にお金が回らないという重大な問題もある。

静止していて平面という写真の特性は、印刷メディアとの相性が最高だった。ザルマイや僕らの世代は、キャリアをスタートさせる頃に印刷メディアのことだけを考えていればよかったのだ。

それが200年以降、印刷メディアの支配力が急速に低下すると同時に写真における考え方も変化せざるを得なくなった。

何かを伝える役目は動画に取って代わり多くのジャーナリストはカメラと一緒に動画も使う。いや、むしろ比重の重きはは動画にあるだろう。印刷メディアから離れて写真はどうやって成立させることができるんだろう。

今後写真はどうなる?神戸にいったのもそこが知りたいからだった。