おでん会

冬青の元社長、高橋さんの自宅で年に一度のおでん会があった。高橋宅には大きな長いテーブルがあって15人くらいが並んで座ることができる。そして高橋さん自ら仕込んでつくるおでんは絶品で、お店で使う仕切り鍋で大量に作られる。今年は祖母からの教えを忠実に守ってつくったそうで、出汁は化学調味料はおろか醤油さえ使っていない。食べても食べても具材は減らず、最終的にお土産で持ち帰った。

最近は日記がわりにInstagramに投稿している関係で、こっちの日記はおそろかになっている。毎日日記を書いていた時はInstagramは何もしていなかった。秋刀魚が不漁だとイワシが豊漁みたいな(笑)。今日は何も用がなくて、しばらくしたらウクレレ会の集まりが家であるくらい。4月の展示の準備もしなくてはならないのだけど、今はもうちょっとグズグズしていたい。

<2021年3月12日の日記から>

だいたい11時頃から仕事を始めて、休憩なしで夜の7時までやることが多いのだけど、昨日は編集作業が一段落した午後4時に銭湯に行って温まって、近くの「長月」という喫茶店でコーヒーとチーズケーキという甚だ贅沢なことをした。ここのコーヒーはめちゃめちゃ旨い。ハイローストの豆をネルドリップで淹れてくれる。5人くらいしか入れない狭いお店なので、タイミングを誤ると入れない。帰りに100グラム豆を買って帰る。帰ったら編集部から原稿が戻ってきていて、その直しが終わるとちょうど7時。下に降りたら娘がいた。最近外に出ることが少ないらしく、よくご飯を食べに来るようになった。お米を地方から取り寄せるようになったら土鍋のサンマご飯がよりおいしくなった。そういえば、最近というか、ここ1年まったく飲みに行っていない。それまで少なくとも月2回、多いときで毎週行っていたのにねえ。生活が変わってしまった。美術史のプレ講座には今日までに100人を超える応募があった。反応があって嬉しい。ZOOMは100人までしか視聴できないので300人まで可能なものに契約変更。フランスの思想家ブルデューの「ディスタンクシオン」という本をを薦められたので、まずざっくり概要を見てみた。その中で、経済的資産とは別に、文化的資産というものがあるということが書かれていた。それは親から子へ、無形の形で引き継がれ、相続税もかからず、連綿と続いていくという話だが、ようは「あの人は趣味がいい」というやつだ。着る物、食べるもの、態度すべてに「趣味がいい」という言葉を使う。実は「趣味」は本人の選択がすべてではなくて、周囲の影響かが大きい。僕は親からではないが、学生時代に通っていた「プアハウス」というお店で教えてもらったことがその後の人生を変えていった。食べることが好きになった理由はこのお店にあるのは間違いない。ワインも。チーズも、食事のマナーもすべて教えてもらった。娘も食に対しての興味が深い。大学で栄養学を専攻したのも、多分に生活からきているものだと思う。美術史は文化的資産になる。家族で視聴してもらえれば、家庭内で話す内容が変わってくる。ひとりで知っているよりも、みんなで知っているほうが面白くなるのが美術史だ。知識が大事なのではなくて、話す内容が変わってくるのが面白い。

<2004年3月12日の日記から>

随分と暖かくなった。なのに今年はまったく花粉症の症状がでない。5年ぶりくらいの穏やかな春だ。花粉症が治ったらどんなに楽か、と思っていたのにいざ症状がでないとこれが普通と思ってしまう。ネコの容態は日増しに悪くなった。食欲はあるようだけど、治療のしようのないと言われた状態なので、このまま病院通いを続ける。もってあと半年くらいだろうか。丈夫なネコでいままでなんの手間もかからなかった。ずっと生きつづけていくような気がしていたが…。ここ数日ギャラリーを見て回っている。そこでそれとなく「ギャラリーをやりたいんだけど」、と聞いてみた。そのなかで「デイズフォトギャラリー」の女性がいろいろと教えてくれた。ワークショップの受講生が見に行って、あのギャラリーのおねえさんは感じがいいと言っていたが本当にやさしい人だった。分かりきったことだがギャラリー運営は大変そうだ。企画展をやればお金にならないし、かといってレンタルスペースだけではなんのためにギャラリーをやっているのかわからなくなる。神楽坂に4月から新しく2つの写真ギャラリーがオープンするらしい。飯田橋にも美術書を扱う本屋とギャラリーが一緒になったものができた。