『Photographer’s Playbook』

朝=とろろそば、納豆/昼=ドライカレー/夜=香味園で台湾ごはん

対面ワークショップも、オンラインの写真史講座も終えて肩の荷が降りた感じ。最近、時間がある時に読んでいるのが、米国の書籍『Photographer’s Playbook』。多くの写真家に「写真家になるためには何をしたらいい」というインタビュー集だ。右ページにインタビュー、左ページに具体的に何を撮るかが書いてある。英語なので翻訳しながらなのだが面白い。誰一人として「個性やオリジナリティを出せ」とか言っていない。むしろ逆。自意識をどうやって抑え込んで撮影するかのノウハウが書いてある。

「車を走らせ、10分ごとに止めてそこの風景を撮る」「晴れても曇っても夜に月のある方向を撮る」「無地の背景を選んで見知らぬ人を撮る」とか。要するに自分の認識の外側にどうやってアクセスするのかということが延々と繰り返し書いてある。

そういえば、現在葉山の美術館でやっているアレック・ソスも、あらかじめ何を撮るかを言葉でリストアップしておいて、車を走れらせそれに合致したものを取るという制作を続けている。視覚情報の前に言語がある。これを日本でやっている写真家はおそらく極少数だろう。衝動で物事を捉えるか、言語化して対象を認識するかということだ。

 

<2006年7月25日の日記から>

銀鏡胴のテッサー45ミリの60周年モデルだけがずっと手元にあった。どうにかしようと思っていた矢先にハワイ行きの仕事が決まったので、コンタックスをメイン機材にしようと決めた。薄いテッサーのレンズに似合うのはやっぱりAriaしかない。新宿マップカメラに、程度がまあまあのものが5万円で出ていたので衝動買いしてしまった。レンズは1本でいいと思っていたのだが、もう1本気になるレンズがあった。ミロター500ミリF8だ。反射望遠タイプのものでミラーレンズと呼ばれている。鏡を使って光軸を折りたたむため、全長がコンパクトになる。ただし絞りはF8固定で、独特のリング状のボケがでる。ミラーレンズは30年前に一時流行ったものの、今では忘れられた存在だ。400ミリまでのズームが普通に売っているのにわざわざ使いづらいミラーレンズを使う必要性がない。でもそのコンパクトさに妙に魅かれる。中野のフジヤカメラで見つけたミロター500ミリ6万7千円也を前に考え込んでしまった。果たして使いではあるのか? ここ10年望遠レンズを使う機会はめっきりなくなってしまった。ハワイに持って行って何を撮るつもりだ?
悩んだあげく見送り。ミラーレンズなんてそうそう売れるもんじゃなし、欲しければまた来ればいいと思っていた。ところが気になって翌々日フジヤカメラに行ってみたら、ミロターは忽然と姿を消してしまっていた。唖然、ミラーレンズを欲しがる人が他にもいたとは。いったいなにを撮るつもりだ。なくなると欲しくなるというのが人情。新品が9万8千円で売っている。でもさすがにその値段は高すぎる。悶々としていたらアシFがこともなげに言う「中野の日東商事にタムロンの500が置いてありましたよ」。でかした!Fよ! ミラーレンズが欲しかったわけで、コンタックスのミロターが欲しかったわけではない。すぐさま日東商事に行って、きれいな状態のコンタックス用タムロン500ミリを1万6千円で買ってきた。
ハワイに500ミリは合っていた。45ミリで撮ったものと組み合わせても、なんの違和感もない。何より良かったのは発色で、コンタックスにまったく引けをとっていない。ミラーレンズは通常の望遠レンズよりも性能が高いと聞いていたがそれを実感してしまった。中古とはいえ。とても1万6千円の品物とは思えない。我ながらいい買い物であった。