モノクロフィルム

朝=にんじんの炊き込みご飯、蒟蒻の胡麻油煮、おくらと蒸し鶏の塩昆布あえ、山芋の味噌汁/夜=枝豆のコロッケ、米沢の牛肉弁当、鳥そば

8年前に1000円だったモノクロフィルムは、今では1500円以上。そう遠くない将来に2000円になるんだろう。写真学校で暗室実習をやるのは無理が出てきた。数本撮影するだけで1日のバイト代を超えてしまう。以前僕のワークショップでは「焼いたプリントを積み上げて膝の高さにならないと本当のプリントの面白さがわからないよ」と言っていた。

ある日突然「あ、焼けた」という感覚になる時がある。それがプリントにはまるきっかけとも言える。その感覚を知る前と知った後では写真を見る目が変わってしまうほどだ。でもそれを知るには膨大な時間とコストがかかる。フィルムも印画紙も高級品になった今では、その感覚を掴める学生はほとんどいないだろう。そうなってくると、逆張りでフィルムと印画紙にこだわることでポジションを掴める若い人も出てくるかもしれない。

僕自身、「あ、焼けた」と思った瞬間は、33歳くらいのことで、大学を卒業して10年以上経った頃だった。その時は、嬉しさよりも、同級生の中でこの感覚を学生時代に知っていたものがいたことに気がついて呆然となった。今やっている僕の写真展では、それ以降のプリントを展示している。  

 

<2014年5月12日の日記から>

4000円のマグロの刺身が1500円で売っていた。それと100円のシメサバ。コダックのモノクロフィルムが6月から現行の1.5倍以上の値段になるというアナウンスが出た。そうなると35ミリで1本1000円近くなる。ほんの数年前まで300円弱で売っていたというのに。将来的に1本1000円になり、それで上げどまりになるだろうとは予想していたが、段階が急すぎてさすがに驚いた。とにかくトライXのブローニー60本と35ミリ90本を注文。使い切ったらフジにするか、イルフォードにするか、そのままコダックを使い続けるかコストと仕上がりを試して決める。10年持つフィルムや印画紙があったら買いだめできるから問題ないのだが、ナマモノだからよくて3年持てばいいほうだ。すでに仕事の撮影はデジタルになって久しいが、曖昧な対象を撮ることが多い個人的な写真では、フィルムと印画紙の組み合わせが向いていると思うので使っている。僕のワークショップでもフィルムがメインだが、あまり負担が多くなるようだったら考えないといけないかな。