たくさんの桜

昼 「日高屋」のあんかけラーメン、餃子

夜 唐揚げ、鰺の南蛮漬け、菜の花のおひたし、寝かせ玄米、豚汁

雨の予報だったのに晴れているので、国立新美術館でやっている「メトロポリタン美術館展」と「ダミアン・ハースト 桜」を見に行く。

NYにあるメトロポリタン美術館には行ったことがない。MOMAもそうだ。なぜかグッゲンハイムだけは見たことがある。昨年のこの時期に国立新美術館には「ロンドンナショナルミュージアム」のコレクションが来ていた。中世から近代までイギリスもアメリカも自国の絵画は少なくて、両国ともイタリアやフランス、スペイン、オランダあたりの絵画を競って収蔵している。かいつまんだ美術の歴史を見ることができて面白い。要時間予約なのだが、会場はかなり混んでいた。

対して2階でやっているダミアン・ハーストの「桜」は時間予約もいらなぅて、空いていて気持ちよかった。モネの睡蓮のように、絵の具をビタビタとキャンバスに塗りつけているだけなのだが、桜なのだ。鈴木理策の「桜」の写真を思い出す。ダミアンの桜は徹底的に平面だが、脳内で勝手に桜が揺れている。ほとんどが個人購入者から借りてきての展示。一緒に行った妻と「買うならどれにする?」。おそらく数億、数十億円するだろうが買うという行為を観賞に入れると面白く見えてくる。美術館を出ると外の桜並木が風で吹かれて花吹雪が舞っていた。

 

<2019年4月1日の日記から>

忘れられないブックフェアになったな。マカオの夜。ひとりで海外の街を歩くなんて何年ぶりだろう。首からα7にズミルックスをぶら提げている。フィルムじゃないのもひさしぶりだ。昨日まで香港フォトブックフェアに冬青の作家と一緒に出ていた。皆は帰ったが、ひとり残ってマカオに来ている。ブックフェア参加も5年目になる。香港にも随分慣れてきた。今までだったら「持っていった写真集は完売した」と自慢していたところだが、今回はなんと1冊しか売れなかった。毎年すべて売り切って帰りのスーツケースはスカスカになっていたのだが、今年はほぼすべて持って帰ることになった。3日間かけて1冊だけ。終了後の夜にひとりその原因を考えた。持っていったのは「demain」の特装版6冊と通常版3冊。それと「traverse 」が3冊。これまでより持っていく数は減らしていた。その代わりTシャツと六つ切のプリントを持っていってスペシャルエディションとして売ろうとした。昨年は予想外にプリント付きが売れてかなりの売り上げとなったので、今年はそれを中心にしようと考えた。「demain」の特装版も「traverse 」も、もう残りが数十冊しかない。だから付加価値をつけて売ろうとしたのだ。これは間違いだと気がついたのは最終日間際だった。ここは「写真集を買いに来る場所」なのだ。場所の特性を考えるべきだった。在庫が残りわずかしかないというのは、こちらの都合であって、僕のことをまったく知らない人には関係ない。Tシャツとかプリントじゃなくて、写真集中心で勝負すべきだった。昨年まではそうしていたのに、どこかで「毎年完売しているから」というおごりがあった。高橋社長が選んで持ってきた50キロもの冬青の写真集はほぼ完売に近かった。1冊1キロもないから60冊以上あっただろう。あっという間に山が減り、最後は数冊を残すだけだった。他の参加作家も売り切れ本が続出していた。打ち上げまでは気が張っていたが、ひとりになると、さすがにこたえた。来年は出るのをやめてしまおうか。でも、負けて退場するのは性に合わない。勝つまでやめなければ負けたことにはならない。今までそうしてきたし、これからもそうしていく。