カツ丼と映画

朝 人参スティック

昼 カツ丼

夜 厚揚げと鶏挽肉の煮物、人参と新玉と唐揚げの黒酢炒め、大葉の玄米炒飯、トマトのお汁

夜寝る前に「明日の朝何食べる」という話になる。何がいいかと聞かれたので、「蕎麦がいい」と答えると「なら食べに行こう」ということになった。週末が配信なので、何となく月曜日は休日っぽい感じになる。南阿佐ヶ谷の蕎麦屋を目指して散歩がてら出かける。蕎麦を食べるつもりだったのに、店内で隣の客がカツ丼を注文しているのを見て急遽心変わり。江古田の蕎麦屋のカツ丼も美味しかったが、ここもいける。お肉がふっくらしていてご飯が進む。学生時代に何かの本で「自由とはカツ丼を好きな時に食べることができること」と書いてあったのをずっと覚えている。昔はカツ丼は値段が高くてご馳走だったのだ。だから「今日はカツ丼でも食うかな」と思ったときに食べることができる金銭的余裕のことを言っていたのだが、今となっては健康的に美味しくカツ丼を食べることができるのが自由なんだと思えてくる。

腹ごなしに阿佐ヶ谷商店街を散歩。お箸を二膳とお煎餅と野菜をリュックいっぱいに買って帰り、頂き物の最中を食べながら2000年に公開の映画「SELF and Others」のDVDを見る。若くして亡くなった写真家・牛腸茂雄の話で、彼が姉に宛てた手紙を西嶋秀樹が朗読し、それに合わせて牛腸茂雄の写真と、彼が撮った8ミリと16ミリの映像、そして彼が撮ったであろう場所をめぐるもの。役者というか、登場人物は出てこない。極めてシンプルな構成なのに引き込まれる。牛腸茂雄は写真家としての成功を夢見ながら、一方で病のため常に死が身近にある。ラストシーンは胸に迫るものがあった。2004年に開かれた山形県立美術館の回顧展で一度見ていたものだが、見返すと18年前と違って見える。

<2006年 2月15日の日記から>

コレクターのHさんに、昨年「da・gasita」のなかの雪の壁の写真を買ってもらっている。先日のトークショーの時に、その写真を持ってきてくれたので、どのくらい違うか今回展示しているものの横に並べてみた。雪のハイライトの抜ける感じはほぼ一緒だが、壁の部分のハーフトーンの出方が若干違っていた。本当に仔細な違いなのだが、比べると以前のもの方がいいように思えてくる。「みずみずしい」と表現したものがいたが、まさに氷が溶ける感じが出ている(ような気がする)この違いの原因は色々あるが(現像時間、液温、液の劣化度)おそらく一番の違いは現像液の種類だ。以前はアグファの専用現像液「ノイトール」を使っていたが、もう販売していないので今回はイルフォードを使った。その差が出たのではと思っている。念のため新宿ヨドバシに売っていないか見に行ったがやはりなかった。売り場でばったり中藤毅彦さんに会う。立ち話のつもりで、1時間くらいギャラリー運営のことで話し込んでしまった。江古田に住んでもう20年以上になる。度々引越しを考えたがやはり江古田に落ち着いてしまう。中野坂上に住める話があってとても乗り気になっていたが、2Bのこともあってやはり江古田は捨てがたい。今住んでいるのは築40年にはなろうという分譲公団だ。そこの1室をオーナーが賃貸として不動産に出していたのをみつけたのだ。古い感じが気に入って住み始めたのだが、ここ1年で本当に古くなってしまった。娘が中学生になるのをきっかけに引越そうと思っている。探しているのはまたしても古い物件だ。