朝 ホットサンド、人参スープ、人参スティック
夜 人参と蓮根と蒸し鶏の炒め煮、レバニラ炒め、玄米、三つ葉の卵汁
氷雨からの雪。前日から大雪予報だったので、対面の打ち合わせは中止。朝ご飯を食べた後に映画を見る。『ワンダーウォール』。京都大学の学生寮取り壊しを舞台にしたドキュメンタリーとドラマが入り交じっているようなストーリー。こんな自治学生寮が存在しているのか。僕自身も東京に出てくるとき、寮生活という選択もあった。大学寮もあったし、僕が通っていた高校が東京に寮を持っていた。でもなんだかそういう団体生活みたいなものが嫌でひとり暮らしをしたのだが、映画を見ていたらその選択を後悔してしまった。でもこの映画は単なるノスタルジーなんかじゃなくて、壁と分断と孤立だったり、社会と個人、そして幸せな貧乏のことを考えさせられる。最後の最後の大合奏で意味もなく泣けてくる。いい映画だ。
2BChannelはちょっと前からライブ配信動画の収益化をオフにしている。1時間話しているから途中で広告で切れてしまうのもなんだなと思って。すると視聴回数も増え、登録者もアップした。実をいうと1万人を超えてから登録者の増加が鈍くなっていた。そんなときにたまたまYouTubeで「高配集の動画の作り方」というのを気になって見て、見終わったあとにライブだけではなく、編集動画の収益化もオフにしてみようと思った。収益化しないとどうなるかの実験。たしかに毎月Googleからいくばくは振り込まれていて、それでいろいろなものが買えていたわけで、モチベーションにもなっていた。でも収益化を追求してもこれから広がらないような気がする。とりあえず、2021年末からの動画と長めの動画に関しては順次収益をオフにしてみる。これからは基本アップしてから1ヶ月は収益化せず、その後考えるというスタイルをとってみようと思う。どんな感じになるんだろう。
<2018年2月11日の日記から>
2Bにはアシスタントじゃなくて、暗室番長という勇ましい呼び名のついた女性のSがいる。Sは6年くらい前にワークショップに参加した後に2Bのあるビルに住むことになった。というか僕がそそのかした。「ここに住むと暗室をいつでも使っていいよ」。その頃Sはあるカメラマンのアシスタントをしていてプロになることを目指していた。カラープリントがいつでもできて、撮影機材がなんでも使えるのは彼女にとって便利だったし、僕も荷物の受け取りや暗室の管理をおねがいできるのはありがたかった。お互いの利害が一致して彼女は暗室番長となった。そういえば誰が暗室番長と言い出したんだろう? たしかにぴったりな愛称だった。2Bの向かいの部屋に住むようになると、翌年彼女はワークショップのグループ展で作った作品をまとめてニコンサロンに応募して、東京と大阪で展示することができた。アシスタントから一本立ちしてフリーカメラマンとなり、料理と人物を専門とした。パリやアルルでのグループ展や屋久島フォトフェスティバルの招待作家にもなった。フランスには多くの知り合いができて、中には超有名な写真家もいる。彼女のスキルと人脈は同じ年齢の時の僕と比べると段違いに高いし、運もいい。おそらく同じ時期に生きていたら嫉妬してることだろう。2Bのあるビルがなくなってしまうという状況に、Sが選んだのはフランスへの移住だった。1年間働きながら住むことができる、とても倍率が高いビザの申請を、フランスに住んでいた人の手助けもあって見事手にいれた。うらやましくて目がくらむ。彼女は50歳になったときにこう言えるのだ「パリもすっかり変わっちゃって、変わらないのはこのお店の味だけね」って。僕は若い頃海外に住まなかったことに大きく後悔している。なんで行かなかったんだろう。でもその時はいろいろ言い訳を考えて「だから行けないんだ」と自分で納得していた気がする。さてビザは取れてもどこに住むかは大きな問題だ。フランスは家賃も物価も高い。手持ちのお金には限りがある。でも彼女が「フランスに住む」と決めて、そのことを周りに話すと「僕の母のところに住みなよ」という人がすぐにあらわれた。運がいい。でもこの運は偶然転がりこんだわけではないし、生まれつきのものでもないだろう。運がいいというのは自分が足りてない部分に、それを埋めてくれる人があらわれること。だから人見知りだと運が良くなるのはかなり難しい。昨夜送別会があった。暗室でせわになった人たちがたくさん集まって海外移住を祝ってくれた。そりゃ運も良くなるわけだ。そしてそれは6年間彼女が積み上げたものだ。フランスでは楽しいことだけじゃないだろうが、おおむねはうまくいく。なぜなら彼女は運がいいからだ。