漆喰を塗る

朝 ニンジンスティック

昼 ホットサンド、野菜のトマトスープ

夜 高円寺「チョップスティック」

今年新しく始めたことの一つにペンキ塗りがある。貸してもらっている家は、古いので何をしてもいいということになっている。いままで特に何もしてこなかったけど、壁紙が剥がれたり汚れが目立つようになってきたので、リフォームとまではいかないまでもペンキを塗ってみようということになった。

大工仕事が得意な友人に手伝ってもらって、試しに食堂の壁の一部を緑と青が混じった色で塗って見たら部屋のイメージがガラッと変わった。いい感じだ。

それに味をしめて玄関の一部を辛子色に塗って、次に仕事部屋も食堂と同じ青緑に塗ってみたら、配信の時の背景として映えると評判がいい。そうなると次々と塗ってみたくなる。なんせ、一軒家、塗れるところはたくさんあるのだ(笑)。そして今回妻が買ってきたのがなんと漆喰(珪藻土)。最近ブームらしい。それで和室の壁を塗るというのだ。流石に素人にはハードルが高そうなので、まずはためしに押し入れの中を塗ってみることにした。コテも買ってあったが、説明書には手でも塗れるとあったので試してみた。確かにできることはできるがけっこう難しい。友人と二人がかりで2時間以上かかった。かなりの全身運動で、常に屈伸運動をしている感じ。結局、ペンキの方がずっと簡単だということはわかった。それと、漆喰は値段が高くて、和室の壁を全部塗り切るのは無理だということもわかった(笑)。

漆喰というと美術史的には「フレスコ画」。ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画が有名だが、実は写真用のインクジェット用紙に「フレスコジグレー」という漆喰がベースのものがある。質感は抜群にいいので何度か試してみたこともある。さて、押し入れの他にもドア2枚と台所の壁の一部をペンキで塗っているうちに夕方となり、本日は終了。いつも手伝ってくれる友人と一緒に銭湯に行って、ベトナム料理で乾杯。

<2013年12月20日の日記から>

“ノスタル爺”の旅vol.3 湯峰温泉

誰が言ったか「ノスタル爺」。熊野古道編。

こちらか写真が見れます。

https://www.facebook.com/media/set/?set=a.629359370454604.1073741833.148447665212446&type=1

大阪から熊野のほうへ出てみようと思った。先月見た大野雅人さんのエプサイトの展示で熊野古道を撮っていたのを思い出したのだ。朝7時にホテルを出て、特急「くろしお」で紀伊田辺まで出る。そこからバスで日本最古の温泉と言われている湯峰温泉へ行こうとした。たいていバスは特急列車の到着に合わせているものだが、シーズンオフということで紀伊田辺で2時間も待つことになった。小さな町だが港があり、昔栄えたような名残が見える。歩いていたら南方熊楠記念館という看板を見つけた。明治から昭和にかけての生物学(粘菌)における偉人天才だ。彼を好きな友人が周りにいたので話だけは知っていた。ちょうど暇つぶしにいいかと入ってみる。当時の家がそのまま残してあった。来館者は自分だけ。東京は雪が降ると大騒ぎしているようだが紀伊はこの時期でも暖かい。雲の間から冬の日差しが差し込んでくる。

ローライを取り出して覗いていたら品のいい女性が声をかけてきた。彼女は庭になっていた果物をチョンチョンとハサミを入れて取り込んでいた。それは鮮やかな黄色の檸檬だった。

彼女と縁側に座り込んで熊楠の話を聞かせてもらった。お金持ちの商人の息子で生涯働かずに研究だけしていたこと、3人の一般人がスポンサーになって面倒をみていたこと、若い頃は一度読んだ本は丸暗記できて家に帰って書き写すことができたり、10カ国語を操る語学の天才であったことなど。

別れ際に檸檬を持った彼女を写真に撮らせてもらった。

バスに乗ると雲行きが怪しくなり、山の中に入るとポツポツと雨が降ってきた。1時間半バスに揺られてようやく湯峰温泉に着いた時にはもう2時を回っていた。温泉は熊野古道の一部になっているのだが、この雨では歩く気もしない。宿は紀伊田辺の観光案内所で民宿を予約してあった。今日のお宿は一泊二食9600円税込。湯峰温泉にある壺湯という小さな露天風呂は世界遺産らしい。入るのには750円かかるので、共同浴場へ。一般湯とクスリの湯というのがあって値段が100円違う。「違いは何?」と聞いたら「一般の湯は温泉と水道水が50:50、クスリの湯は源泉100%。オススメはクスリの湯です」なるほど。クスリの湯の熱さは42.5度だった。ちょうどいい。30分くらい出たり入ったりしながら浸かっていた。温泉街と聞いていたのだが、お店はどこもあいてないし、雑誌ひとつ買うところもない。かろうじて缶ビールと柿ピーを買って宿に戻る。

湯上りのビールは旨かったが夕食までやることがない。本を持ってくるのを忘れたのはいたい。wifiなんて飛んでいるわけもないから、布団を引いてゴロゴロしていた。6時に夕食。変わっていたのは温泉で炊いたというご飯。ちょっと黄色くて不思議な食感。ゆっくり食べたつもりだが30分で終わった。テレビを見てさっさと寝る。夜中に寒くて目が覚めてお風呂へ。静かすぎてちょっと怖い。

起きたら晴れていた。朝食は7時。しっかり食べ熊野古道歩きに備える。昨日見た壺湯からひと山超えると熊野本宮大社へ抜けることができるそうだ。リュックひとつの身軽な格好だから歩く気も出る。熊野古道は確かに道はついているのだが、ここの山越えは結構険しいところがある。まだ山の中に日が差し込む前に出発してよかった。鬱蒼とした森の中は意外と音にあふれていた。だんだんと明るくなり山頂を越したところでお日様が出てきたら途端に暑くなった。車なら10分のところを写真を撮りながら2時間近くかけて歩いて熊野本宮大社へ着いた。朝日が本宮を照らして神々しい。イザナミ、アマテラス、スサノオの三神が祀ってある。ご利益高そうだ。帰りは新宮へバスで1時間半、そこから名古屋まで3時間半、そして東京まで1時間45分。1泊2日“ノスタル爺”の旅は来年も続く。