駆け込み相談

朝 ベーグルのホットサンド、野菜トマトスープ

夜 じゃがいもとパプリカのソテー、キャベツと春菊の塩昆布和え、玄米のドライカレー

ルデコ搬入を来週に控えて学生がひとりやってきた。何も手に付かない状態らしい。とにかく今考えていることを話してもらう。それを僕は紙にマジックで書きつけていく。言葉だと流れていくことが文字にすると引っ掛かりが出てくる。「これってどういうこと?」と言葉の意味について質問すると、なんとなく言葉を選んでいることに本人が気づいてくる。携帯でその語義を調べてもらい、本来どのような意味合いを持つかを話していった。例えば「記号」だったり「主体」だったり。ちょうど今週の美術史講座が現代思想の回だったので、そこで出てくることが、今抱えている課題と符合したのでちょうどよかった。まさか哲学や現代思想がこんなに役に立つものだとは思ってもいなかった。自分が学生時代、そういうことを馬鹿にしてたよなあ。もったいないことをした。1時間近く話していたら、急に霧が晴れたような顔つきになった。何かが変わった感じが伝わってくる。相談を受けていてこの瞬間が一番楽しい。

<2018年11月21日の日記から>

暗室帰りは銭湯

貸し暗室も2度目となると慣れてくるものだ。目の悪い僕にとっては、とにかく暗いのだけは作業効率に大きく影響するので、秘蔵の80ミリのシュナイダーと、ピントルーペを持参。伸ばし機をダーストからオメガに変えてもらったら、ピントノブが右側で使いやすい。ダーストの左側ノブは、効き目の左目でルーペを覗くのでピント合わせのとき、体がよじれて泣きそうだった。

伸ばし機を変えたので、再度色合わせから始めることになる。前回のプリントはあらためて見ると青が強い。マセンダかぶりを気にすぎたため青に寄ってしまったようだ。短冊に切った印画紙を焼いて色の調整をする。まず明るさ。前回は絞り11で50秒もかかったが、今回は10秒。5倍も明るさが違う。2絞り以上だ。結局色が決まるまで2時間かかった。

一度色が決まればカラーは楽しい。前回焼いたものを、もう一度新しい設定で焼いたら全然違う写真になった。それから7時間、飲まず食わず休まず、ずっとプリント。現像機が業務用の大型化だから色の安定性がいい。問題と言えば、ネコがウロウロしていること。暗室兼保護ネコセンターなのだ。ネガをセットしていたら、カーテンの隙間から忍び込んできて、引き伸ばし機の一部上まで駆け上がった。で、降りられなくなって困ってる。そのうち、バタバタとホコリを舞いあげて暗室内を駆け回り去っていった。ネコは好きだが、おそらくネコって暗室に一番似合わないものだろうな。