選挙ポスター

朝 大豆シリアル」ヨーグルト、玄米パスタで温卵カルボナーラもどき

夜 天丼、「まめた」のわさび稲荷、ゴーヤと胡瓜の即席漬け、根菜味噌汁

昨日のブックフェアは暖かくて気持ちのいい日だったが、今日は冷える。ついに石油ストーブが出てきた。毎度言うけど、寒いのは嫌いだが石油ストーブは好き。あの気持ちよさはエアコンでは味わえない。朝方に投票を済ませようと思ったら長蛇の列。かなり時間がかかりそうだったので、夕方にすることにした。

選挙になると楽しみなのが、鈴木心がYoutubeでやっている「選挙ポスターから見えるポートレート撮影術」の動画。これは毎回本当に面白い。選挙ポスターを1枚1枚見ながら検証していく。ライトはどの位置で、どこの角度で打っていて、背景と被写体の距離だとか、ポスターの色の配置や、顔の向きまで言及している。レタッチ、解像度、ピントの話も面白いというか、かなり突っ込んでる。これ、撮った人が見たら凹むなだろうなあ(笑)。そこで僕も改めて選挙ポスターを見た。僕の選挙区で一番良かったのが自民党の石原のぶてる。お金をちゃんとかけている感じ。意外とひどいのはなかった。でもポスターの色使いとか、フォントとか、鈴木心さんの動画を見たことで気になってきた。選挙ポスターを見る新たな楽しみが出てきた。

 

<2007年11月1日の日記から>

フォトビエンナーレ quai photo

今日でパリ4日目。朝7時でもまだ真っ暗だ。

パリへは定刻どおり到着。バスでアパートがあるオペラへ。今回は1週間単位で借りられるキッチン付のアパート。ひとりで暮らす分には十分な広さがあり、バスタブや洗濯機もある。外食だと1食2千円はくだらないヨーロッパでは、キッチン付はありがたい。パリの中心であるオペラ座から徒歩2分で9000円だ。物件は「パリ生活社」というサイトで申し込んだ。

さて、肝心のオープニングパーティだが、あれほど着るものに悩んでいたが、結局ヨーロッパ人は黒は着ているものの、ラフな格好も多かった。

そしてそこで初めて今回のケ・ブランリー美術館主催フォトビエンナーレ「quai photo」の趣旨が分かった。世界35カ国から70名の写真家を選んでいるが、アメリカ、フランス、イギリスなど写真先進国以外のアフリカ、アジア、南米、中東を中心に選んでいるのだ。世界で埋もれている才能を発掘紹介するのが目的だということだ。中国、インドからの参加も多い。数十名のキュレーターによって各国から写真家をピックアップしている。

日本人は僕ひとりだけだった。「日本は写真の先進国のひとつだ。だから我々は日本からひとり選びたかった」と言っていた。それがアルルでたまたま引っかかった僕なわけだ。パーティ当日は朝9時半集合だったのだが、あいにくの土砂降りで予定されてした美しい庭園でのパーティが中止になってしまった。テレビなどの報道関係者が取材にきていて、ゲストで来ていた文化大臣にインタビューをしていた。アルルでは言葉が思うように通じず大変だったので、パリでは現地に住む女性に通訳をお願いした。おかげでいろいろなことがわかり楽しむことができた。

さて、僕の写真はいったいどこに写真が展示してあるのかと思えば、なんとセーヌ川の橋の上。カプセル状の展示ブースに5点のイメージが収まっていた。すごいのはそのロケーション。写真の向こう側にエッフェル塔が見える。

プリントはアルミの板に焼き付けてる。インクジェットなのかと聞いたら「シルバープリントだ」ということだった。トーン、濃度、解像度ともに十分満足のいくものだった。雨に濡れてもダメージはなく、夜になるとカプセルの中の照明でライトアップされる仕掛けになっている。写真の横にはタイトルと作者名、それに選んだキュレーターが、写真から感じ取った、きちんとした長文を寄せている。アルルで僕を今回のビエンナーレ関係者に紹介してくれたキュレーターに、「こういった形の展示は初めてだと思うが不満はないか?」と聞かれたが、「とてもいい展示だと思う。ありがとう」としか答えられなかった。最初に「屋外のでの展示だ」と聞いたときには正直、素直に喜べなかった。ただボードに貼り付けられただけの展示なのではないかと思っていたからだ。

僕が見ている間にもたくさんの人が楽しむように写真を見てくれている。オープンスペースのメリットと、作品の質の維持がきちんとなされている。今まで展示はそのスペースにもっとも合った状態のものを、と言ってきたが今回の展示はまさに見本のようなものだった。

昼食はカフェに用意されていた豪華なビュッフェで、前菜からデザートまですべてがおいしかった。その席で目の前に座ったおばちゃんと話をしていたら、その人はニュージーランドの有名な写真家で大学の教授でもあり、彼女の作品は今回美術館内で特別ブースを使い展示されていて、その後フランス中を「ツアーする」と言っていた。てっきりビエンナーレの参加者だと思っていたらすごい人だったのだ。持っていた写真集「traverse」を見せると、隣に座っていたご主人が気に入ってくれてずっと見ている。これは美術館のショップで買えるのかとまで聞いてきた。彼女の写真集を日本に送るから「traverse」を送ってくれないかということになった。

昼食後もずっと美術館内で過ごすことができ、その間にフランスの写真家が移動式スタジオ内でポートレートを撮ってくれるフォトセッションがあった。僕は小道具としてシノゴのカメラを持ち込んだ。撮った写真はその場ですぐにプロジェクターにかけられ大型スクリーンで見ることができる。写真は後日、展示されるということだ。

夜は美術館内でカクテルパーティがあった。なんの合図もなしに6時から始まり、9時になると、これまた何の合図もなしに終わった。これがフランス流?

パーティの間、持って行ったリコーのGRDに21ミリワイドコンバージョンレンズをつけたものを首から下げていると皆、興味津々寄ってくる。

口々にこれはいい、どこのだ、ちょっと貸して、レンズが付け替えられるのか、いくらだと、どこへ行っても変わらないカメラ好きの話になる。しかGRDは驚くほど食いつきがいい。意外だったのは誰もGRDの存在をしらなかったことだ。日本での人気を考えると驚きでもある。

こうしてパーティは無事終わった。感じたのは、ただ写真を集めて展示するのではなく、ひとりひとり個別のブースを作って、きちんと紹介しようという作者への尊敬が見えることだ。そしてパーティの趣旨は「場所を提供しますから、この場所でたくさんの人と出会ってください」ということだった。展示された写真5点は美術館に収蔵される。契約では1点につき何がしかのお金で買い上げてくれるとある。これからパリに行くたびに、あの美術館に自分の作品があるのだと思えるのは、とても大きな喜びだ。