「サントリーオールドを飲む」日

朝 燻製牡蠣のパスタ

おやつ あんことアイスクリーム

夜 チャプチェ、厚揚げの生姜焼き、雑穀ご飯、大根とエリンギのお汁

 

ひとり暮らしをしている娘から「今週彼氏を家に連れてくる」とLINEがあった。前回会った時に「引っ越して、彼と一緒に暮らす」というから「一度連れて来い」とは言ったものの、いざ連れてくるということになると動揺する。

あれだ、昔「サントリーオールド」のCMでやってたやつだ。頑固なお父さんが気弱そうな彼とサントリーオールドを飲むやつ。

そのシュチュエーションがついにきた。いや、さすがに「オールド」は飲まないけど。あの時代「オールド」は高級酒だったわけだ。

今そのCMをYoutubeで見たらウルっときた。https://youtu.be/Vu3Xyux4J8E


僕が妻と知り合ったくだりは『旅するカメラ』の「失敗」の回にちょこっと書いたが、撮影をミスして編集部に謝りに行った時に、哀れなカメラマンにお茶を出してくれたのが今の妻。つまり最も知られたくないことを間近で見てた人だ。

付き合いだして半年ちょっと過ぎた頃、父親が倒れ米沢にしばらく戻らなければならないことになり、実家暮らしをしている彼女に、当時飼っていたネコをその間、預けることになった。そのネコは、ふたりで公園を散歩しているときに拾って、僕がコッソリとアパートで飼っていたのだ。だから半分は責任がある。

2週間後、東京に戻ると「ネコのお礼に来いと父が言ってる」と彼女が言ってきた。行きたくはなかったがしょうがない。スーツに慣れないネクタイを締めて「2週間ありがとうございました」と頭を下げたら、間髪入れずに「娘をどうするおつもりですか」と厳しい顔で問い詰められた。頭を上げて彼女を見たが「私は何も知らない」という顔をしてる。

28歳になる直前、まったく稼げてない、むしろ借金があるような生活してるのに結婚なんて絶対無理。1ミリもその気はなかった。

でもそんなこと言える雰囲気ではない。ここでの答えはひとつしか許されていないのだ。「結婚させてください」。


家を出た後に聞いたら、父親は結婚の話をするとか一言も言ってなかったらしい。そして父親に先に言ってしまったが、彼女に「結婚してください」とプロポーズしたのだった。

あの時は「はめられた」と思っていたが、義父にああ言ってもらわなかったら結婚はしていなかったと思う。今では感謝している。その義父も一昨年他界してしまった。

 

あれから32年たって今週立場が入れ替わることになるのだ。