うちの椿は切ってしまった

朝 大豆シリアルとヨーグルト

昼 銀座「はしご」で坦々麺

夜 銭湯に行って、ベトナム料理

 

銀座シネスイッチに映画『椿の庭』を見に行く。写真家上田義彦監督作品で、コロナのせいで公開が1年延びていた。

主演は富司純子と 沈 恩敬(シム・ウンギョン)。富司純子は75歳、『緋牡丹博徒』の頃のようにシュッとしている。

海の見える大きな庭に住む祖母と孫の生活。四季の移り変わりが捉えられている。

劇的なストーリーがあるわけではないが「終わり」ということをずっと意識させる。映像はすべて自然光で撮られているようだ。おそらくフィルムで撮っているのだろう。ギリギリの光が上田義彦らしい。

観ているうち、富司純子が白洲正子とだぶってくる。白洲二郎と正子の家は記念館として町田に残っているはず。『椿の庭』の家は上田義彦の別荘なのかな。伊藤美咲の写真集や、CMで見覚えがある。

 

先日ライブ配信で上田義彦のことに触れた時に「渡部さん、上田義彦のことを好きすぎ」と笑われたが、たしかに。

でも、会いたいとか、写真の話をしたいとか一切ない。ただ作品を見るのが好き。

これって今年の芥川賞受賞の『推し、燃ゆ』の主人公「あかり」と同じだと気がついた。あかりは「推し」のアイドルに対して肉体的な結びつきは求めない。有象無象のファンのひとりであることに居心地の良さを感じ、ただひたすら言動や行動から「推し」のことを理解しようとする。そして「推し」を推せなくなって壊れていく。

この本を学生が「最近読んだ本」に上げていたので読んでみた。「この主人公の気持ちわからんな」と思っていたら、同じような感情を上田義彦に抱いていたのに気がついた。

「推し」がいるのは幸せなことだと思う。

 

上映に合わせて、有楽町にある「エプサイト」で写真展をやっている。映画から切り出したカットとエイトバイテンで撮られた『椿の庭』のスチール写真。レンズはちょっと長め。65ミリから100ミリくらい。なんのカメラを使っているんだろう。

そういえば上田義彦は、この映画で監督・脚本・撮影をひとり三役でこなしている。

この映画をひとことで言えば「2時間の写真集」。ブルーレイが出たら買って、プロジェクターを使って音を消して一日中流していたい。

 

なので帰り道、ビックカメラに寄ってプロジェクターを見てきた。