マカオの夜。
ひとりで海外の街を歩くなんて何年ぶりだろう。首からα7にズミルックスをぶら提げている。フィルムじゃないのもひさしぶりだ。
昨日まで香港フォトブックフェアに冬青の作家と一緒に出ていた。皆は帰ったが、ひとり残ってマカオに来ている。
ブックフェア参加も5年目になる。香港にも随分慣れてきた。今までだったら「持っていった写真集は完売した」と自慢していたところだが、今回はなんと1冊しか売れなかった。毎年すべて売り切って帰りのスーツケースはスカスカになっていたのだが、今年はほぼすべて持って帰ることになった。
3日間かけて1冊だけ。
終了後の夜にひとりその原因を考えた。持っていったのは「demain」の特装版6冊と通常版3冊。それと「traverse 」が3冊。これまでより持っていく数は減らしていた。その代わりTシャツと六つ切のプリントを持っていってスペシャルエディションとして売ろうとした。
昨年は予想外にプリント付きが売れてかなりの売り上げとなったので、今年はそれを中心にしようと考えた。
「demain」の特装版も「traverse 」ももう残りが数十冊しかない。だから付加価値をつけて売ろうとしたのだ。これは間違いだと気がついたのは最終日間際だった。
ここは「写真集を買いに来る場所」なのだ。場所の特性を考えるべきだった。在庫が残りわずかしかないというのは、こちらの都合であって僕のことをまったく知らない人には関係ない。
Tシャツとかプリントじゃなくて、写真集中心にで勝負すべきだった。昨年まではそうしていたのに、どこかで「毎年完売しているから」というおごりがあった。
高橋社長が選んで持ってきた50キロもの冬青の写真集はほぼ完売に近かった。1冊1キロもないから60冊以上あっただろう。あっという間に山が減り、最後は数冊を残すだけだった。他の参加作家も売り切れ本が続出していた。
打ち上げまでは気が張ってkたが、ひとりになると、さすがにこたえた。来年は出るのをやめてしまおうか。
でも、負けて退場するのは性に合わない。勝つまでやめなければ負けたことにはならない。今までそうしてきたし、これからもそうしていく。
来年の香港には新作を投入することに決めた。今年中に「in and out」を作って来年もう一度勝負してやる。