美術館から動物園を回ってアメ横の「大統領」へ

H2期の募集中です。2B時代とはまったく違ったアプローチで写真を考えています。

 

写真の上手な撮りかたは、テクノロジー、現在では機械というよりAIの進化により必要はなくなっていきます。事実僕らの仕事はたった20年で激変しました。

 

AIが進化しても必要なことは残ると思っています。それをいろんな角度から考えていくのがHです。

 

 

 

妻が上野の博物館に「人体の不思議展」を見に行きたいというので付き合った。暑い中ようやくたどりつくと、なんだか様子がおかしい。人体展はすでに終了していたのだ。

 

幸い美術館では「プーシキン美術館展」をやっていたのでそっちを見ることにした。僕にとってはラッキー。

 

モスクワにあるプーシキン美術館所蔵の「フランス風景画の歴史展」だった。1600年代から1900年までの風景画だけが展示されている。

 

神話や宗教画におけるたんなる背景にすぎなかった風景が、単独であらわれてくるのがフランスの市民革命後。社会の変化が美術を変えていくのがわかる。そしてチューブ式絵の具の誕生は絵画を劇的に変えていく。

 

それまでは絵の具の関係で色つけはアトリエでしかできなかったのに、持ち運べるチューブ式絵の具によって外で描くことが可能になった。それで生まれたのが印象派だ。

 

これはテクノロジーが美術を変えた最初の例だろう。フランスの風景画の移り変わりは1850年ごろを境に激変していく。緻密に描写こそがすべてだったのに、1905年のアンドレ・ドラン「港に並ぶヨット」なんて小学生の絵画コンクールだって落選しそうな感じだ。

 

そして最後はお約束のようにピカソのキュビズムにたどり着く。もはや対象物が絵の中ーに存在しない。

 

高解像度が優先された時代から対象を描かない時代への流れが一気に見えて面白かった。