「右」を写真に写すとすれば、、、

江古田から阿佐ヶ谷に場所を移して初めてのワークショップ。

実を言うとまだ手探り状態で、はっきりしたカリキュラムはない。初回は写真雑誌『IMA』の最新号と本年度の木村伊兵衛賞のふたりを引き合いに現在の写真の状況を説明していきながら、参加者が持参した写真を見ていった。

このへんは2Bとあまり変わりはない。ひとつ大きな違いと言えば宿題があること。iPhoneでも構わないから次回まで3枚写真を撮ってくる。

そのお題は「右」

なんでもいいから右だと思うものを撮ってきてもらう。右って左の存在なしに説明するのは難しい。男を説明するのに女を抜きに説明できないのと同じだ。

当然撮った写真に正解などない。どう撮るかというより、どう思考するかというゲームだ。これは京都の荻野さんから教えてもらった。

対話型美術鑑賞というのがあって、作家の意図や背景を抜きにして作品から感じるものをグループで話あうものに一度参加したことがある。

「作家の意図はこうでした」という正解を探るものではなくて、自由に発想して発言しあう。とはいえ、自由にというのが意外と難しい。へんなこと言ったら恥ずかしいという気持ちもある。

でも正解はないのだ。とっぴであればあるほど、対話はもりあがるし、他人の意見の面白さを受け入れることができる。MOMAがすすめているプログラムで、最近は学校や会社内でも行われているんだそうだ。

条件さえよければiPhoneと最新ミラーレス機の違いはほぼない。誰が撮っても写真は撮れる時代だ。テクニックはAI化がすすめばすぐに陳腐化する。そのときに必要なのはむしろ撮ることよりも、見る力のような気がしている。

100年前に「20世紀の文盲は写真を読めないことだ」と言ったのは誰だったっけ。そんな時代がきてるのかもね。

新しいワークショップでは新しいことをやってみようと思っている。