魚が食べたいということで家で手巻き寿司。

来年1月の写真展のためのプリントをギャラリーに納品。1980年、2005年、2016年に撮ったものを選んだ。

写真集「demain(デュマン)」のカバーの色見本が上がってきていた。深い緑に写真が小さく入るデザイン。とても良い色合いだが、もう少し本番では濃くしてもらうことにした。

表面を覆うPPと呼ばれるオーバーコートはマットを選んだ。高橋社長は「マットは光沢より傷が目立つんですよ」と言うが、中身がマット系の紙を使うので、ここはマットで。

木曜日と金曜日は印刷立会いだ。緊張というわけではないが近頃体が重い。

新宿エプサイトで山下恒夫「日々Ⅲ」をやっているので見に行く。もっと早く行くつもりだったのだが、3週間ある会期はもう終わりに近づき17日木曜日までに迫っていた。

今回はデジタル。今まで彼の展示はずっと銀塩だったから気になっていた。2012年からの日々撮りためたもののセレクトだ。

彼は大学の同級生で、僕が最初に遭遇した天才だ。いや天才というと語弊があるかもしれない。そうだな、写真の神様に愛されている男がしっくりくる。その才能に嫉妬する気にもなれない。

普通のものを普通なものとして捉えることができる。でもその普通は普通じゃない。意味が通らないな。とにかく写真を見ていると「ホー」とか「ハー」と息が漏れる。

友人が鎌倉で「香菜軒」というカレー屋さんをやっているが、彼の作る料理にどこか似ている。凄さを全面に押し出すことはせず、旨さを際立たせることもなく、控えめゆえにおいしい。食べ終わったあと口の中にも、胃の中にも何も残さず、気持ちが落ち着く。そのときの気持ちと山下の写真を見た時の気持ちが似ている。

渡「全部モノクロになるんじゃない?」
山「やっぱりそう思う?いけるよね」
渡「カメラはフジ?RAWで撮ってるの?」
山「ほとんどフジ。ニコンがちょっと混じってる。RAWで撮ってる。フォトショップでフジのRAWを開くと自動的にフィルムシュミレーションが出てくるからそれを使ってる。プリンターはエプソンPX5500。古いけど全然いける」
渡「クラシッククロームいいよね」
山「コダクロームを意識してるんじゃない。シャドーちょっと持ち上げて使ってる」
渡「用紙は普通っぽいね」
山「うん、純正の絹目」
渡「ああやっぱり。あれが一番色が安定して出るよね」
山「そうそう。色々試したけど絹目が一番よかった。シルバーグレインもいいけど高い。あと色空間はsRGBにしてる」
渡「一緒。sRGBのほうがプリントのときコントロールしやすい気がする」

重かった体は少し軽くなった。足を伸ばして四谷三丁目のルーニーへ。ルーニーは来月四谷三丁目を離れ馬喰町のあたりに移転する。大きなスペースになるそうだから楽しみだ。

ここでも同級生が個展をやっている。

中島恵美子写真展
「Pandora 2」
2016年11月15日(火)〜20日(日)12:00-19:00最終日は16:00まで
四谷三丁目Rooneeにて

彼女は毎年かかさずルーニーでやっていて、すでに12回目。もうこの時期の恒例になっている。銀塩モノクロ、カメラはハーフサイズのオリンパスPENとリコーGR。デジタルじゃないよ。両方ともフィルムカメラ

小沢太一さんやタカザワケンジさんも来ていた。12年は伊達じゃないね。