気になっていた駅前の「バーガーキング」へ。完食はしんどかった。

今年の写真展の大目玉「トーマス・ルフ展」を国立近代美術館に見に行った。

ルフは写真を使った作品を続けているが、写真家ではなくメディアアーティストと紹介されることが多い。

1970年代後半にドイツでアートとして写真を扱っていた学校はデュッセルドルフアートアカデミーだけだったそうだ。そこで教えていたのがベッヒャー夫妻。ベッヒャーは「メディア」の重要性を教えていたということだ。

僕は1980年に大学で写真を専攻した。その時代日本では写真とメディア関係性といえば雑誌、新聞、広告といった印刷による紙メディアのことだけだった。

雑誌に掲載される写真が良い写真なんだと思っていた。その頃プリントは「印刷原稿」として捉えられる部分が多く、印刷に向かない写真は成立しなかった。美術館で写真を扱うことは皆無に近かった時代だ、写真は印刷を前提にするという制約の多い表現方法だったのだ。

その当時からドイツでは写真が美術館に展示されることを前提にしていたわけだ。写真に対する認識がまるで違っていたことになる。

ルフの写真は美術館やアートフェアで散発的に見てきたが全容を見るのはこれが初めてだった。ネットや雑誌で小さく紹介されていた木星衛星写真や「JPEG」シリーズを見たときは正直「なんじゃこれ」と思っていたが現物は違った。

面白い。美しさもある。ルフの写真は全てのシリーズにおいて「自意識を排除した美しさ」が残っている。写真における美しさが変容しているのだと気がつく。美しさは普遍ではないと頭では分かっていたが、体で体験できた感じだ。

妻も一緒に行ったのだが、面白かったようだ。最初こそ「これは写真なの?」と言っていたのに説明文を読んでいくうちに徐々にツボが分かったようだ。

ちなみに会場では「極端なアップでなければ写真を撮ってもいい」となっているが、静かな会場での携帯のシャッター音は気になるのものだ。1枚1枚撮っているのがいると「図録を買いなさい」と言いたくなる。

でもひとつだけ面白い効果があった。iPhoneを持っていたら設定一般アクセシビリティ「色の反転」にして「ネガティヴ」のシリーズを見ると、きちんとした写真になって画面に映るのだ。図録でも当然できる。

ポジ画像とネガ画像での見え方の差が実に面白い。ネガでは写真の意味合いが消えて線と形だけになり遠近感が失せるが、ポジ画像では奥行きや立体感まで感じられる。これもルフがメディアを利用したものの考えかたを提示しているわけだ。

満足度が高い展示だった。近美コレクション展を見て、帰りは皇居を散歩。天気は良かったがそんなに暑くなかった。8月が終わり季節も変わるのを感じる。