ジムに通い始めて早6か月、体重は66キロ台から63キロ台まで落ちた。これは26歳の時と同じだが、筋肉量は大きく違う。
54歳ともなると体力というか基礎的なものの衰えを感じざるをえない。近頃同世代の友人に会うと血圧の話になる。ついにそういうお年頃になったかと思うとシミジミする。
ジムに血圧計が置いてあるのでたまに測ってみるが、110-65くらいなので、これは問題なさそうだ。
そして血圧とともに語られるのが「五十肩」。誰でも一度は経験すると脅かされていたが自分には関係ないと思っていた。しかし、ついにその日はやってきた。
2ヶ月前くらいから右肩に違和感を感じていた。トレーニング中ある動作の時にピリッとくることがある。気のせいにしようと思っていたが、右肩に決定的な痛みが走った。
それは引き伸ばし機のピントを合わせているときに起こった。暗室経験のあるかたなら分かると思うが、ピントルーペを覗いた姿勢で右手を引き伸ばし機上部のピントダイアルにのばすと窮屈な姿勢になる。上体を折って下に向け、手を上にまっすぐ伸ばす感じだ。
大四つ切りサイズにプリントしようとすると、引き伸ばし機のヘッドが上がり、ますます窮屈になる。ピントルーペに顔を寄せピントダイアルに手を伸ばした瞬間、ビリッときた。
あうう、と顔が歪む。ついにきた、五十肩だ。まさにその時、ラジオではピエール瀧が五十肩について語っていた。「それは焼けた火箸を突っ込まれた痛さ」。なんて恐ろしい表現なんだよ。
もしかしてこれからそうなるわけ?
妻に五十肩のことを話すと「君にもようやくきたようだね。大丈夫辛いのは一年。でも右肩が治ったら必ず左肩もくるからねえイヒヒヒヒ。不思議と同時にはこないみたいよ」と両肩経験済みの彼女はにこやかに僕の五十肩デビューを祝ってくれた。
適度な運動は必要ということみたいなので、シュクシュクとトレーニングを続けることになる。
幸い僕の使っている引き伸ばし機には手元でピント調整できるワイヤーノブがあるから大きく手を伸ばさずにプリントできる。来年1月の展示があるからこれから暗室の日々なのだ。