四国旅7日目。
しまなみ海道、大島の民宿泊。土砂降りで身動きとれず。しかたがないのでベランダに三脚据えてローライSLXに250ミリをつけてモノクロで海を撮っている。
先週月曜日に車で東京を出て、東名高速で神戸を抜けて淡路島で一泊。船で鳴門の渦潮を見る(ちょっろとしか渦巻いてなかったけど)。
再び自動車道で四国に入り高松港へ。そこからフェリーで車ごと小豆島へ渡る。思ったより小豆島って大きくて驚いた。
ちょうど小豆島の周りの島では瀬戸内芸術祭をやっていた。空き家となっている民家を使ってのインスタレーションが小豆島だけでも40位上あった。
翌日は直島へ。この島は話題に登ることが多く、一度行ってみたかった。ベネッセ美術館では杉本博司の「海景」が10枚くらいオープンスペースに展示してあった。庇もまったくない完全な屋外。コンクリート打ちっ放しの壁に一列に飾ってある。
プリントは分厚いアクリルに封入されていて、雨がしみ込むようなことはないようにできている。
写真の水平線と実際にそこから見える水平線の高さが完全に一致している。写真の高さはほぼ目の高さだから、もしかすると杉本博司の写真ありきで建物が設計されているのかもしれない。
町の中には杉本博司が設計した神社もある。図録で見ていて気になっていたので実際のものが見ることができてよかった。
他の島へも行くつもりだったが、直島が以外と大きくレンタサイクルではまわりきれず時間が大幅にかかってしまった。
午後3時の最終便で犬島へは渡れたのだが、ここがとてもよかった。
90年前に作られた銅の精錬所跡が美術館になっている。小さな島の中に突然アートワークが現れるのだが奇抜な感じはない。
小豆島で2泊した宿は、偶然見つけた有機野菜を出す小さなペンション。トイレもお風呂も屋外にあって不便なのだが、食事がとてもおいしくて連泊したのだった。
今回の旅ではまったく予定をたてていない。もっとも毎度のことだが。その日の朝に行く場所と泊まるところを見つける。
小豆島から高松に戻ると一路愛媛へ。松山を通り越して内子というところで高速を降りた。大正から昭和初期、木蠟(もくろう、ハゼの木の実から作る蠟)で栄えた町で、当時の豪商の家がそのまま残っていて中を見ることができる。
大正時代に作られた「内子座」という芝居小屋は今でも現役で使われていて、公演がない時は中を見学できる。
町並みも保存地区があったり、宿も一組だけしか泊まれない古民家が数軒あったりと面白いところだ。
残念ながらかなり前の予約が必要だそうで、泊まるのはあきらめ松山へ入った。
実は今回の最大の目的はリコーGR発売記念のワークショップが松山で開かれ、その講師役を務めることになっていたのだ。ワークショップは全国で開かれ、それぞれの地で写真家が講師をするのだが、この話があったときに迷わず松山を希望した。
理由は四国にいくことなんて、なかなかないから。そして行くなら車で行こうと決めていた。
土曜日は四国に台風が直撃すると言われていて、最悪中止も考えられていたが、奇跡的に台風がそれ、雨もほとんど降らず撮影実習も無事できた。
しかしながら単発のワークショップの難しさも感じた講座だった。無事終わったらグッタリしてしまい、その日の夜は小説「坊ちゃん」でも有名な道後温泉に入り「道後ビール」を飲んで早々とダウン。
そして今日から後半戦。朝起きたら雨。徐々に雨脚が強くなってきて今治から大島へ渡ってきたら前が見えないほどだった。
昨日の分も降っているんじゃないかと思うくらい。今治の喫茶店で教えてもらった大島の宿は食事が有名だそうだ。今日の楽しみはそれくらい。
ベランダから見える海は杉本博司の「海景」と似ているが、水平線ではなく、対岸の建物がうっすら見える。
それもそれでなかなかいい。
日記を書いているうちに、どうやら雨は止んだようだ。今、6時。後30分で夕食だ。