冬青にプリントを納品したので時間が取れるようになった。半年間の追い立てられるような気持ちが抜けた。
ほっておくとずっとブラブラしてしまいそうなので、ブローニーフィルム(トライX)を50本注文。年末年始用だ。
森谷修「珊瑚の記憶」新山ギャラリー
http://moriyaosamu.seesaa.net/article/305250162.html
赤坂のマンションの一室がギャラリーになっている。欧米ではポピュラーなマンションギャラリーだが、日本にも増えてきた。本人がいたので、まるで森谷さんの事務所に来ているような気分になる。つい長居してしまった。
展示はモノクロの11X14インチサイズが8点。部屋の大きさにはちょうどいいが、もっと見たい。森谷さんも、もう少し増やそうかなと言っていた。展示期間が長いから途中で全部変えてくれればもう一度行ってみたい。
有田泰而「FirstBorn」ギャラリー916
http://www.gallery916.com/exhibition/firstborn/
初めてギャラリー916に行った。ずっと気になっていたギャラリーだ。ゆりかもめ竹芝の駅からすぐ。どこかで見覚えのあるビルだなと思ったら、ここって10BANスタジオがあったところだ。なくなったって聞いていたがスタジオ跡地がギャラリーになったのか。搬入用のエレベーターが懐かしい。
すごく広いギャラリーだと評判になっていたけどそりゃそうだ。元は車が撮れるような大型スタジオだったわけだから。
今回はこの記事を読んで行きたくなった。
ほぼ日インタビュー「師、忘れ得ぬ写真家 有田泰而」
http://www.1101.com/ueda_yoshihiko/
有田泰而が1970年代に「カメラ毎日」に連載していた「FirstBorn」を弟子である上田義彦が再プリントして写真展を自らのギャラリーで行い写真集を作っている。
それがどういうことなのか確かめたかった。
広い空間にたっぷり間をあけて展示してある。ゆっくり見ていくと上田義彦の写真と勘違いをおこしてしまう。
ここで多くは語らない。師を持たない僕には、師を思う気持ちというのが羨ましい。
国立近代美術館プリントスタディ。シスキン、ウィンバロック、リー・フリードランダー、ゲイリー・ウィノグランド。
もう7回目くらいになるプリントスタディ。今回も大きな発見があった。これまで印刷でしか見たことのなかったウィノグランドだが、プリントを見て認識が変わった。
35ミリのスナップなのだが、かなりプリントが美しい。コンセプト重視のフリードランダーに対し、ウィノグランドは目の前のものを射止めるハンターのようだ。
正反対の性格にような気がするが、この二人はかなり深い親交があったようだ。というのも、ウィノグランドが生前に作ったポートフォリオのキャプションにフリードランダーが編集をしたと記されていたのだ。
没後ならまだしも、生前に他の写真家が自作ポートフォリオの編集をするというのはかなり珍しいと思う。よほど信頼していたということだろう。
ウィノグランドは若くして突然亡くなっているが、遺品として撮影済み、未現像のフィルムが1000本残されていたという。それは来年の春にサンフランシスコで行われる回顧展で発表されるそうだ。
1000本といえば撮影するのに通常5年はかかる。だんだん溜まって行く未現像のフィルムをウィノグランドはどう思っていたんだろう。1000本を自分一人で現像するのはかなり無理がある。現像を外注するにはコストがかかる。
日々増えていく未現像のフィルムを見ながら暗澹たる気持ちになっていたのかもしれない。
プリントスタディは作家の新たな一面を知るいい機会になっている。写真展と違うのは、やはり生のプリントが見れること。画像とかイメージではなくて、紙という存在の面白さが感じられるのだ。