なんだか週一回の更新になってしまって、、、
やる気は徐々に出てきた。
こういうときは大抵新しいカメラがらみだ。
『旅するカメラ2』の序文にも書いたが、なにせ風邪の特効薬が珍しいカメラだったわけだから。
今回の特効薬はかなり強力だ。というより巨大だ。
ディアドルフ8×10。エイトバイテンと読む。
知っている人はここで「おお!」と声を上げたはず。マホガニーで作られた大型木製カメラ。フィルムの大きさは約20センチ×25センチ。B5版くらいだ。六つ切りの印画紙と同じというと、プリントしたことがある人は途方もない多きさのフィルムだということが分かってもらえるはず。
実物がこれ。http://p.tl/z0Eh
レンズは戦前に作られたフォクトレンダーヘリアー180ミリ。コシナ製じゃないよ。ポートレートレンズとしてつとに有名なレンズなのだ。
このヘリアーというレンズを今年始めに手に入れて使ってみようとずっと思っていたのだが、シノゴのカメラで使うのは当たり前すぎる気がしてそのままになっていた。
そこへ、ワークショップ2Bで大判カメラ実習をやった時に、エイトバイテンのカメラににヘリアーをつけて覗いてみた。
いい!
周辺までが画像がきちんと結像せず暗く落ち込むところが萌える。写らないっていうのはリアリティがある。
最近プラチナプリントやサイアノプリントといった銀以外を使うプリントプロセスの復興と相まって、大型カメラへの関心も高まってきた。そこで2B内で特別実習としてやってみたのだ。講師は「大判写真組合」のTさん。彼は現在大型カメラの第一人者みたいな存在になっている。http://modernism.jugem.jp/
シノゴと呼ばれるハガキ大の大きさのフィルムを使うカメラから、B5判サイズのバイテン、A3サイズの11X14 まで実際に覗いて触って、シノゴのカメラを使ってポラロイドで撮影してみた。
大きなカメラでも露出の考え方は同じだし、慣れてしまえば意外と楽に撮れるものだ。大型カメラは写真を撮るプリミティブな楽しみが味わえる。
実習をやっていたら自分でも撮りたくなってきた。Tさんにお願いしてディアアドルフを借りることにした。バイテンを使うのは10年ぶり。
川内倫子がシノゴを使って作品制作を始めたことで話題になっている。現在のカメラは「いかに使いやすく」という考えで作られているが、大型カメラはお作法が多い。その手順の多さが大型カメラを使う意味合いにもなっている。使いづらい分だけ対象物とじっくり向き合えると考えることもできる。瞬間を切り取るんじゃなくて、そのままを受け入れる感覚だ。
梅雨明けも近い。バイテン持って夏の東京を撮るなんて粋じゃないか。