写真集「da.gasita」の印刷色校正が出た。
その仕上がり具合に驚いた。「印刷ってこんなにできるもんなの?」
収録される写真は2004年から撮り続けているものだから、もう何度も色々な媒体で印刷されている。一部は前作「traverse」にも出ている。
これまでの印刷は「まあ、いいんじゃない。印刷だし、プリントとは違うものだから」と自分に言い聞かせている部分が多かった。はっきりいえば、今まで一度も印刷で満足したことはない。
ところが今回は色校段階にもかかわらず「えっ、なにこれ!プリントよりきれいかもしれない」と思えたのだ。
印刷は凸版印刷。プリンティングディレクターは凸版杉山さん。冬青特別チームなんだそうだ。
今日の色校の打ち合わせでは僕は杉山さんと高橋社長の横で「ウンウン」とただ頷いているだけだった。「渡部さん、どうでしょうか」と聞かれても「それでいいと思います」としか答えようがない。だって、二人の会話はあまりにも高度だから口を差し挟む余地がない。
僕にはまったく気が付かない細かい細かい問題点を杉山さんと社長は阿吽の呼吸で分かりあっている。「ここは3パーセントから5パーセント墨を切っておきましょう」「そうですね4パーセントでいいと思います」
二人の会話に「もうちょっと」というような曖昧な言葉は使われない。すべて数字に置き換わっている。インクの色もcc単位で調整されている。
高橋社長を見ているとNHKの「プロフェッショナルの流儀」で取り上げればいいのにといつも思う。これほど写真集印刷に情熱とこだわりと知識を持っている人はいないだろう。世界基準で写真集を作れる人だ。
色校は済んだ。文字データもすべて整った。あとは8月末の印刷を待つのみ。
「なんだかいけそうな気がしてきた〜」