上からどうぞ

ゲートをくぐって1時間弱、疑念が生まれてから15分、ようやく大間側のゲートが見えた。そこをくぐればもう町が見えるはず。

しかし、ゲートはしっかり閉まっていた。車を降りて開けようと試みるが大きな鍵でがっちりロックしてある。横に車の入る隙はない。

そこで最悪の事態が脳裏をかすめた。「もし工事の車両が帰ってしまったら、閉じ込められてしまう…」時はすでに夕暮れ、後1時間もしないうちに日は暮れる。

携帯の電波が来ているか確認。繋がっていれば警察に電話できるかもしれない。当然圏外。こんなところでiphoneが通じるわけもない。道はひとつ、工事車両が帰ってしまうまでに入り口のゲートをくぐらなければならない。

Uターンすると、車のギアをドライブからセカンドに入れ、山道を走らせた。できるかぎり、安全に最大限の速さで。

喉が渇いてヒリヒリする。でも飲み物を手に取る時間がもったいない。もし、ゲートが閉まっていたらどうする。一晩車で夜を明かすか、歩いて助けを求めるか。でも翌日も工事車両が来るとは限らない。人里からゲートまでは少なくても10キロはある。どうする?

かる〜いパニックを起こしながら、冷静をつとめつつ車が雪で滑らないように慎重に走らせる。来た道の数倍の距離を感じる。

山頂から下って20分、ゆるいカーブを曲がると、左手に青い工事車両が見えた。人もいた!助かった。

スピードを緩め車両の横にいたおじさんの前で止まった。「ゲートが開いていたからはいったんだけど、反対側がしまってた」と言うと、

「あれ、ごめんね。工事のためにさっき開けたんだよお。車が通ったのは見えてたんだけど関係者かと思ってた」

頼むから閉めておいてくれ…

久々に怖かった。もう初日は写真どころじゃなくて、大湊まで戻って宿泊。

本日の撮影枚数8枚。