毎年文化庁は新進芸術家海外研修制度という奨学金を出している。
「本研修制度は,我が国の将来の文化芸術の振興を担う人材を育成するため,各分野の若手芸術家等に,海外で実践的な研修に従事する機会を提供し,研修する際の渡航費・滞在費を支援します。」とある。
美術,音楽,舞踊,演劇,舞台美術等,映画,メディア芸術から選ばれ半年から3年間海外で生活し研修を受けることができる(通常は1年)。
過去には劇作家の野田秀樹、狂言師の野村萬斎、写真家では田中長徳もこの奨学金を利用している。
これに応募することにした。応募に通れば来年2011年9月から留学ということになる。
実は今年初めからずっと考え続けていた。今年の募集について何度も文化庁に問い合わせたのだが「仕分け」の影響で本年度の募集があるかどうかわからなかった。
それが無事「仕分け」をくぐりぬけ今年も施行されることになった。
応募には在留希望場所の研修機関受け入れ書と国内の推薦書、それと研修計画書が必要になる。それと研修に必要な語学力。
現在それを準備中。今までその制度を利用したかたに連絡をとって色々教えてもらっているところだ。
この制度には年齢制限があって美術家は応募時に50歳未満であることを求められる。僕は今年49歳だ。
最後のチャンスとなるともう止まらない。今年の初め家族に宣言した。「お父さんは留学することにした」
娘は完全に引いていた。無理もない僕が留学中の年は彼女自体が進学の次期なのだ。妻は「あなたはいいだろうけれどこっちはどうするの?1年間収入ないんでしょ?」これまたもっともな話だ。
でも僕にはいつでも理由なき自信がある。「大丈夫だ」。
高校時代に東京に出てくるときと同じ心境だ。あの時も1年かけて家族を説得した。今回も半年かけて「行くんでしょ。いいわよ」と妻が言ってくれた。
申請が通るかはわからない。でも「できたらいいな」ではなくて「行けるための準備」を全てやることにした。
これはその宣言でもある。