冷やしうどん。

ワークショップでは不定期で写真家のビューイングを行っている。ここでいうビューイングとは作品を前に、作家自身に作品を説明してもらうことにある。

先月のイタリア行き前日に平間至氏、先週20日日曜日には北井一夫氏にお願いした。

平間さんには今年5月、塩竈のフォトフェスティバルで初めてお会いした際にビューイングをお願いしていた。

平間さんには田中泯「場踊り」のシリーズの大全紙作品を40点以上見せてもらえた。ライカで撮る理由やプリントの黒について、そして撮影のエピソードを作品を前に聞いていく。

一見ただの黒に見えるイルフォードに焼かれたプリントのトーンは、しかるべきライティングの元で見ると何層にも折り重なっているのがわかる。

普段「イルフォードの印画紙は黒が締まりづらい」などともっともらしいことを言っていたが、この作品を見て認識を新たにした。黒い、しかも深い。

あらかた作品を見たところで撮影シーンをムービーにしたメイキングビデオを大型プロジェクターで見る。

どのようなアプローチで田中泯に迫るのか興味深い。お互い無言のまま、普通の撮影のテンションとは明らかに違うであろうということが画面から伝わってくる。本人は撮影中のことをほとんど覚えていないそうだ。現像が上がって初めて知るカットばかりだったと言う。

その後もう一度プリントを見直すと、もっともっと面白く見えてくる。ビューイングの楽しさはこういうところにある。

ゆっくりと静かに語る平間氏の口調からは、どこからあのアグレッシブな写真が生まれてくるのか不思議な感じだった。青い炎という言葉を思い出した。