朝から焼きうどん。

昨夜は評論家竹内万里子さんをワークショップに招いての特別講座だった。

まずは世界の写真フェスティバルの状況をレクチャーしてもらい、その後5名がそれぞれの作品20点ほどを見てもらった。

レビューは作品が良いとか悪いとかを判断してもらうものではなく、作者がどの方向に向かって作品製作をしていっているのかを聞き、それに到達できるような道筋を話をしてもらう。

レビューを受けているものは真剣に自分の作品がどのような方向で制作していて、どうなりたいかを説明していかなければならない。

ポートフォリオレビューとは、ただ写真を見せて」「どうでしょうか」とお伺いを立てるものではない。よく「作品は見る人の自由であるから、作者が語るべきではない」と言う人がいるがそうではなく、自分の作品に責任を持つ意味で、製作意図をきちんと考えてなければならないと思う。それを言葉をもって説明していく能力が求められる。

竹内さんの言っていた内容は、いつも僕が言っていたことよりも、具体的で深いものだった。言葉を職業にする人の凄さを感じることができた。

レビューを受けたものはものより、周りで聞いているものも興奮していたようだ。

その中で「見るという行為は、見たくないものから眼をそらしている行為でもある。自分が眼をそらしているものが何なのかを気が付くのは大切な行為だ」というのがあった。

久々に眼から鱗が落ちた思いだった。

終わってから竹内さんと金村修の話になった。彼女も展示を見てあまりの変わり様に驚いたそうだ。「やっぱり彼は天才だ」とも言っていた。

エベレストの頂上アタックにたとえるなら、同年代、同級生の鈴木理策はアタック隊を組んでベースキャンプを少しづつ押し上げて南壁を入念に進んでいる。対して金村修は、北壁を単独無酸素で登っているようなものだ。

金村修は足を滑らせて滑落してしまう危険が高い。でも、高みを極めたら評価は彼のほうが高くなるだろう。

同時代に生きて二人の作品を見続けていける幸せを感じる。