ミッドタウンで刀削麺

アルルでの日々をまとめました。
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/special/2007/07/17/6654.html

朝、気が付いたら時計は11時。慌てて事務所に行く。アシFがカラー自動現像機CP-51の点検をしていた。近頃調子が悪い。ペーパーの目詰りと、筋状のムラ汚れに悩まされている。分解掃除をして調整をする。

小雨ふる中、ミッドタウンに「PHOTO IS 著名人編」を見に行った。

確かに大きな看板に名前がデカデカと出ていた。五十音順なので「渡部さとる」は最後。とても目立つところにある。

会場は超満員。こんなに人出の多い写真展はめったにない。ミッドタウン内で、タダで、有名人が撮った、ということで会場はおばちゃんだらけだ。

僕の写真はペ・ヨンジュンの斜め後ろ。ヨン様が撮った写真に人だかりができて、全員僕の写真におしりを向けていた。

いいんだけどね。確かにここに並んでいるのは自分でもすごく違和感があるし。大体案内文には「普段写真を撮られる方々の、写真家ではない目線の写真をお楽しみください」といった趣旨が書いてあった。

いいんだけどね。でも写真家なんだよね。撮られるほうじゃなくて撮るほうなんだけどね。

ペ・ヨンジュンは、飛行機から見える、翼と雲の写真を展示している。まあ、それだけ見ればどうってことない写真なのだが、おばちゃんが違う視点で食いついていた。「おかしいわよ、翼が写っているってことはここはエコノミーの席よ。ヨン様がエコノミーに乗るわけないじゃない。まさかわざわざエコノミークラスまで行って「ちょっと写真を撮らせてもらえますか?なんてありえないわ。これはね、チャーター機よ!」

すごいぞ、おばちゃん、洞察力だ。写真1枚からストーリーが出来上がっている。写真の見方の面白さを知っているじゃないか。

有名人の撮った写真の面白さは、見るほうが撮影者のバックボーンを知っていることで写真に肉付けができることだ。

たとえば、坂本美雨の写真に写っているのが坂本龍一だと分かると、そこに親子の会話を想像してしまう。

「作品が全てを語る」という考えの反対に位置する写真の見方もあるのだ。