その間にもM上がフランス語を使い列車の時刻を調べている。アビニヨン行きの列車は間に合いそうにない。TGVのチケットの時間を変えようとしたがアビニヨンからの列車は満席で変えることができない。TGVは全席指定で、自由席というものはない。勝手に乗り込むと罰金がかせられる。罰金の額は分からないが料金の5倍という話もある。
5分で戻ってくると言うタクシーは30分待っても来ない。この時点で13時30分。2時のアビニヨン発TGVは消えた。「リヨン行きの電車があるそうです。それに振り替えてもらいました」
なんだ、それなら十分飛行機には間に合うじゃないか。別にTGVでなくてもいいよ。中華は食べれないけどね。と一安心。
ところがチケットを見ると「パリリヨン」ではなくてただの「リヨン」。全然別の場所であることが判明。慌ててチケット売り場で聞くと「あなたたちは今のところリヨンにいく手段しか残されていない。このままでは今日中にパリには着くことは無理」
「ちょっとまずい」、から「かなりヤバイ」状況になってしまった。出口こずえがパリの友人に連絡をとってクレジットカード会社の旅先緊急支援の連絡先を教えてもらい、電話で状況を説明する。
リヨンにはTGVが各所から集まってきているのでもしかしたら乗れるかもしれない。4時半にリヨンに着けば5時のTGVで7時にパリに着くことができる。その後は6時にもう1本あるがそれだと時間的に無理がある。パリから空港までは1時間はみなければならない。
試しに航空会社に便の変更はできるか、と問い合わせたところ「一切受け付けられない。その場合は別にチケットを買ってもらうことになる。正規の片道ではなく往復を買ったほうが安いが、片道だけ使うとペナルティが発生するのでその分も料金が加算されることを覚悟してほしい。料金は20万円以上」
これならTGVに乗って罰金を払った方がまだまし。とにかく列車でリヨンに向かうことにした。普通列車は40分の遅れでやってきた。このままではリヨン着が5時のTGVにギリギリ間に合わない。しかもリヨン駅のどこにTGV乗り場があるか分からない。乗り換えに無理がありそうに思えた。次の6時の便なら9時過ぎに空港に着くことができる。出発45分前まではチケットを発券してくれるはず。それにかけるしかない。