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集合場所の神田駅周辺で撮影場所を探す。ぐるっと一回りすると西口前のガード下が良さそうだった。歩道のなるだけ邪魔にならにところに大型の三脚ジツッオをセットしてバイテンのカメラを取り付ける。

長岡制作所製の木製カメラだ。まだ一度しか使っていないそうでピカピカ。250ミリのフジノンをつけて覗いたら、久しぶりに「俺って天才」と思えてきた。

アシFと漂流者を立たせて位置決め。ところがお日様の角度が準備している間にもどんどん変わってくる。ある程度の場所を決めて後は出たとこ勝負にかける。

約束の時間に3人と編集者がやってきた。鬼海さんは「おお、バイテンじゃないかあ」と大喜び。いしい、大竹の両氏は怪訝そうな顔をしている。

早速3人に立ってもらう。ところが指定の場所は3人が並んで立つと交通量が多いため往来のじゃまになることがわかった。

最初に決めた場所にはこだわらず、すぐに次の立ち位置を指定。ファインダーを覗くとバッチリ。間髪を入れずにピントを合わせ、アシFにシャッターと絞りを任せ、フィルムを装てん。

引き蓋を抜くとタイミングをはかりレッリーズを押した。すぐさまフィルムフォルダーを引き抜き、レンズを開放にしてピントの確認。そしてもう一度2枚目のフィルムを装てんすると引き蓋を引き抜きレリーズを握り締める。焦る気持ちを抑えつつ3人の呼吸があったところでシャッターを切る。

「はいOK!」わずか数分でメインカット撮影は終了。後は各人のポートレート。それはフィルム1枚のみだ。バイテンを使うとそれで十分なのだ。

撮影が終わると胃がキューッとしぼむような痛みがあった。数年前毎日のように感じていたあの感覚。どうか写っていますように、と祈るような気持ち。そしてフィルムが現像されてラボから受け取ったときの安堵感。

今日の撮影は久々に興奮した。仕事が楽しかったなんていったら叱られるかもしれないが撮影することが純粋に楽しかったのだ。