鮪の葱間鍋

今日の撮影は作家の石田衣良。新築したばかりという自宅での撮影だった。

作家の撮影でアトリエや書斎を見る機会は多いが今回は驚いた。半地下にある真っ白な空間。書斎というより舞台装置。チリひとつ無い。

壁一面の本棚は上の部分が空いている。イメージは「作りかけの図書館」だそうだ。本でいっぱいにならないようにしているという。

インタビューと撮影が終わり雑談になったところで、実はインタビュワーの若い女性がある有名作家の娘だという話になった。

僕はその作家の雑誌連載の日記が好きで以前よく読んでいた。当時小学生だった娘もよく登場していてエピソードを覚えている。それは誕生日に何が食べたいか聞かれて「回転するお寿司」と言った話だ。おいしそうに食べる娘へのまなざしが伝わってくるようだった。

僕の中で小学生で止まっていた彼女と仕事をするなんて。初めて会ったのにずっと昔から知っているような変な気分だった。

石田衣良の家を見た彼女は「父によく言っておきます。家中本で溢れているんです」と言っていた。

でもその作家のイメージは溢れる本の中で格闘している姿だ。