今年一番寒いのでは

中野のギャラリー冬青で野村恵子写真展を見て、下北沢の小さな小さなギャラリーフリースタイルで松尾順子写真展を回り、御茶ノ水ギャラリーバウハウスで春日広隆写真展、最後に渋谷パルコロゴスギャラリー横木安良夫トークショーと気になっていたものを一気に回る。

野村恵子の色には湿り気がある。今回の新作写真集Bloody Moonもいいが、昨年発売されたIN-Betweenのヨーロッパの写真がとてもよかった。

23日にはトークショーに行ってみようと思う。http://www.tosei-sha.jp/gallery-top.htm

下北のギャラリーは2坪くらいの狭い場所なのだが人通りが多い。今回はパリの写真が展示してあって、会場に合わせサイズも小さくなっていた。モノクロよりカラーの作品がよく売れていた。大きな作品のほうが見栄えがするのだが、小さいほうが自分の部屋に飾るイメージがわきやすいのだ。

春日さんの作品はモノクロでありながらデジタルプリント出力されていて、そのことが話題になるが実物を前にするとそのことはまったく気にならない。

アンセルアダムスの流れを汲むファインプリント派は当然ここに帰結するだろうなと思える。

それにしてもこのバウハウスというギャラリーはかっこいい。写真専門のギャラリーとしては世界でもトップレベルだと思う。

横木安良夫写真集「あの日の僕、あの日の彼女」を買うとトークショーの予約券をもらえるのだが、複数の中から迷わず藤代冥砂の回にした。今日本で一番売れっ子のグラビアカメラマン同士の話が聞いてみたかった。藤代冥砂の著書「ライドライドライド」が好きなせいもある。

二人は初対面ということだったが、すぐに話が噛み合ったようだ。年齢差にすると20歳近くあるはずなのに感じさせない。

訥々とした能弁ではない語り口から出る言葉はズシッとくる。体に一本何かが通っている感じだ。横木さんはしきりに文学の人だと言っていた。

トークショーが終わったあと横木さんについていって藤代さんと飲むことができた。かっこいいのだ。女優が惚れるわけだ。編集者が一緒に仕事したいと思うわけだ。ああこれが藤代冥砂なのねと納得。

彼はデジタルで仕事をしていない。すべてネガカラーだ。「カメラは何を使っているの?」と聞いたら「今ペンタックスSPなんですよ。レンズは55ミリのF1.8 だけ。これでほとんど撮ってます」

これまたなんだか妙に納得できたのだった。