結局撮影中はずっと雨だった。
最後の撮影が終わりホテルに戻ってから自由時間となった。地図もなにもないのでよりあえずホテルの周りをうろついてみた。
大きなビルの陰に坂道になっている路地が目に付く。その中の1本をおじいさんの後をつけるように入ってみた。
細くて暗い曲がりくねった路地をビクビクしながら歩いた。奥に入ると路地伝いには間口一間ほどの小さな店がびっしりと軒を並べている、
食堂、屋台、パーマ屋、雀荘、雑貨屋、ビリヤード…
映画のセットのような光景だ。夕暮れ時で子供たちがしゃがんでご飯をかきこんでいる。5分も歩いたら別の大通りに出た。道が分からなくなってしまうのでまた来た道をゆっくり折り返す。
出口付近には屋台が集まっていた。今日の夕食はその中の麺のお店で食べることにした。
お店のおばちゃんに平打ちの麺を指差す。おばちゃんは指を立てて「イー?リャン?」と聞いてくる。麺の量を聞いているのだ。迷わず「リャン」トッピングはザーサイ。
辛い、けれど美味い。頭から汗をかきながら食べた。目の前に小さな餃子が並んでいる。これも頼んでみる。茹でた餃子は噛むと汁が飛び出していた。麺の中に入れてもおいしい。
海外に行って一番幸せを感じるのが屋台でのご飯だ。麺と餃子で5元。日本円で80円だった。
重慶の町を歩いていると活気があって中国の今を感じることができる。隙間さえあれば誰でもどこでも商売を始める感じだ。
中国の諺で「明日良くなる」というのがあったが明日に希望を抱ける彼らがまぶしく見える。