D60の味

EOS20Dを使うようになってからD60はまったく使わなくなってしまった。

バックアップとして持って行っても電源を入れることは皆無だ。画素数の問題ではなく、発色の違いのせいだ。

素数でいえば600万画素もあれば僕が使う被写体(人物)であればなんの問題もないが、D60の発色は黄色の色相がねじれている。

グレーをきちんととっても、どうしても黄色が不安定になる。黄色は顔色に直結するため、肌色を出すには色相がニュートラルな20Dが使いやすい。

ネガカラーのプリントをしている時は、色を意図的に変化させることが多い。日常ではありえない発色でもプリントするとそれが「味」となる。それが楽しみでもあり、ネガカラーを使う理由にもなっておる。

ところがデジタルプリントで色を変化させると「味」よは認識できなくて「失敗プリント」になってしまう。「プリンターのプロファイルはちゃんと合わせないと」という声が聞こえてきそうだ。

たとえばモノクロフィルムで撮影してネガカラーペーパーにプリントすることがある。カラーはYMCで構成されているから3色を掛け合わせてグレーを作ることになる。

原理的にはYMCを等量掛け合わせればグレーになるはずだが、ちょとでもずれると色が転んでしまう。モノクロがグリーンになったり、イエローになってしまうがそれも「味」になる。

同じようにモノクロデータをインクジェットプリントするとやはりモノクロではなく色がつく。すると黒にでないことが気になってしょうがない。到底「味」とは思えない。経験のある人もいるだろう。

昨日D60で撮った作品のポートフォリオを見る機会があった。使えないと思っていたD60の色がちゃんと「味」になっていた。

俄然手持ちのD60の資産価値が出てきたように感じてしまった。色を直そうと思うから問題がおこるのだ。基本的に持っている色を味と考えればいい。そう考えればD60の色相のズレは変えがたいものになる。

もしかすると数年後D60が高値を呼ぶかもしれない。