2泊目は、予定していたゲストハウス(1泊100円)のオババを、ガイドのサラン・トヤーさんが気に入らず、「私の知っているゲルに泊まりましょう」とすぐそばのゲルに案内してくれた。
そんなに都合よく知り合いがいたもんだなあと関心したら、彼女はそのゲルの人達の両親を、ウランバートルで知っている程度で、彼らとは一面識もなかったのだ。
夜の8時過ぎにやってきた我々のために、ご飯を作ってくれて、ゲルに泊めてくれる。そして自分達は今使っていない古いほうのゲルを使うのだ。
これを自分に置き換えてみると、突然東京に遊びに来た父親の友人を、ご飯を作ってもてなし、その人たちのために家を明け渡し、僕は暗室で寝る、ということなるわけだ。想像するとめまいがする。
モンゴルでは、ちょっとした町に行くにも馬なら二日も三日もかかる。大草原の中にホテルなどあるわけもない。夏でも夜は気温が5℃くらいになる。冬なら零下40℃だ。泊めてもらえなければ即凍死。だからモンゴルでは旅人をもてなす習慣が昔から延々といまだに続いているのだ。
ただ、ウランバートルに住む海野氏が言った。「彼らは約束などせずに突然やってきます。それはいいんだけど、ノックもしないで家に入り込んでくる。留学当時、それにはさすがにびっくりした」
モンゴル人の特徴は、と聞いたら「裏表がまったくない」これにつきるそうだ。