晩御飯を食べて夜9時に就寝。

ある雑誌の撮影で撮ったミュージシャンの事務所から「写真の点数が少なくて選べない」とクレームがついた。全部で4カット必要だったのでプリントしたものを各2枚、計8枚を納品していた。

編集部が「ある程度こちらで選んでお見せしています」と言ってくれたのだが、先方は「写真は全てこちらで選びます!」とえらい剣幕で怒られたらしい。

ネガでの撮影が主なのですべてプリントするわけにもいかず、かといってベタ焼きは小さくて慣れないと、どれがいいカットなのか判断するのは難しい。なので1カットにつき2枚焼いて選んでもらおうとしたのだが、それがお気に召さなかったようだ。

そこまで言うならしかたないので、スキャナーで撮影したカットを全て読み込んで、データにして先方に渡し、選んでもらうことにした。

指定されたものを再プリントしたが、どう見ても最初に納品した方がいいように思える。先方も怒った手前意地になっているのかも。

「アーティスト」と呼ばれる人たちには「アーティストチェック」と呼ばれるものがあって、マスコミに出るイメージをコントロールしている場合が多い。場合によっては撮影するカメラマンが決まっている場合もある。どの媒体でも同じカメラマンが撮影するのだ。

新宿のエプサイトで「高砂淳二写真展」をやっていた。水中写真のほかに夜にかかる虹「ナイトレンボー」や、ペンギンやアザラシなどの超大型プリントが満載だ。

「癒し」という言葉が大嫌いだが、彼の写真にはあらがえない。以前からずっと好きな写真家だったが今回の展示はサイズ、点数とも密度の濃い満足度100パーセントのものだった。

彼の写真集は買っても人にあげてしまうことが多いので手元に残っていない。会場で販売していた「aqua」「life」を購入。

ページをめくると眠っていた旅への欲求がふたたび目覚めた。